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検索結果 全1058作品
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詩 木の人 初出年: 2010年
心のやさしい人は 木から生まれたのである おはよう と言って彼が去ったあと 両耳のまわりで 何だか さえずりみたいなものがくすぐったりする 彼が立っているのを遠くから見ていると 空ってこんなに満ちあふれているのかと思ったりする もっと立っていると 雲のひそひそ話が聞こえたりすることもあるけれど <p class="sepa
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詩 水について 初出年: 2010年
器から零れた 水は 初めて自由―を知った そして 自分には形姿のないことも識った 透明なおのれが何故か悲しかった 水が湧く 水は繋ぐ 水は流れる こんこんと さらさらと とうとうと 苗を育て魚たちをはぐくみ大地を潤おした 水は得意になって歌った 某月某日 雨が降った 雨は降り続いた 岩に沁み込んだ 土
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詩 鳥光 初出年: 2010年
驚くべき変化など 何ひとつもなく 何ひとつも求められない 鳥の群れがつくる わずかな影の移動が すばやく視界をよぎるとき 一日の長さと 短さを 交互に気づかせる瞬時の光が 感覚の畝を繋ぐことで 私には外側がある 遠い稜線から いっせいに湧きあがる雲がある <p
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詩 野ばらの私語(ささやき) 初出年: 2010年
露に濡れた純白の花房が 思いをひそめて語りつぐ 今 浦和の地に生い茂っているけれど 小鳥が種を落としたのは多摩川の上流 平井川のほとり そこで清流の囁きを聞いて成長したと 野ばらは その川辺から人の手を経て 武蔵小金井の地に運ばれて幾十年 ベランダの上を覆い見事なアーチ型に 育って 甘味な香りを放って
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詩 花の季節 初出年: 2010年
だれが書いたのか 「安らかに眠って下さい」などと どうしてねむれよう 剥げおちた皮膚の痛みも去らないのに 命が内から崩れてくる 苦悶がいまも 火となって駆けるのに また夏がきて 夾竹桃が 咲く <
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詩 集団自決 初出年: 2010年
あのとき私たちの島は── 米軍艦船に包囲され 逃げ場は閉ざされ 激しい攻撃 地響き すべて焼きつくし 私はお国のために死ぬことを考えた・・・・ うまいものを食べて 晴着に着替えて 家族 親族 みんな車座になって話合い 手榴弾の安全弁を引き抜き 石に叩きつ けて 爆発 轟音と共に 人々の五体は ちりぢりばらばらに 肉片が飛び散って 木の枝にもぶらさがる 死者たちは神々 しく 死にきれなかった運の悪い私たち 泣き叫び
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詩 ハクセキレイとともに 初出年: 2009年
田舎道を歩いていると 小鳥が溝からあがって来て 尾を振りながら小走りに道を横切る ハクセキレイだと思うが まだ日本も捨てたものではないと ちいさな風景を見つめる 働いて働いて毎日疲れていた頃 直線で冷たい人工構造物のなかで 体温の冷めていくのを感じる日々があった わずかな記憶を思い浮かべると フロリダ
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随筆・エッセイ 人は何故書くのか(抄) 初出年: 2009年
ご紹介にあずかりました宗内です。標題に従いましてお話して参りたいと存じますが、私は今、大変戸惑っています。と言いますのは、標題の「人は何故書くのか」まではいいのですが、副題と言いますか、「──私の場合を切り口に」などという馬鹿な但し書きをつけてしまったところがとても気になるのです。 一体、私宗内敦とはどこの何者、物書きとしては全く無名の、いわばどこの馬の骨とも分からない人間です。これが例えば、県内出身の林真理子とか、これから話の中に出て参ります瀬戸内寂聴とかいった著名な物書きなら、「私の場合」というのが大いに生きて、たくさんの人々の興味や関心を呼び起こすところでしょう
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短歌 追い風 向い風 初出年: 2009年
(Head Wind Tail Wind) フライト 久々の太平洋上飛行にて座席の画面はフライトマップ 風向は追い風 高度は一定11,887m <p class="w
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随筆・エッセイ 個人情報保護 初出年: 2009年
Aは、街を歩いていた。 街といっても、白い布状のものが建物らしいものにかぶさり、そこが何を売っているのか、それとも普通の家なのか分からない。 勿論、表札を出している家は一軒もない。 道らしきものを辿っていくと、川らしきものにぶつかる。 しかし、それが何という川なのかとうの昔に忘れ去られてしまった。 今は、個人情報保護法が21世紀の初めに施行されてから、多分1000年以上の時が経っている。しかし、正確な時を知ることはできない。皆、自分で工夫をして時を計っている。 Aは、太陽の位置と
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評論・研究 夏目漱石の文学の「開花」 初出年: 2008年
一 『三四郎』の二人の女――美禰子とよし子―― (一) 大作『三四郎』――三つの世界―― 東京帝国大学文科大学学生小川三四郎の「あまりに暖か過ぎる」青春の物語『三四郎』は、若さのもつ単純な美しさに充ちている。『三四郎』は多くの人の共感を呼び、漱石中期の人気作である。 その『三四郎』で、注目されるのは、「三四郎には三つの世界が出来た」ということである。この特色ある文学空間の創造によって、三四郎の青春は花開いている。では漱石は「三つの世界」
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随筆・エッセイ 『世界の美女達に乾杯!』(抄) 初出年: 2008年
トルコ、また行く! 十年ほど前に旅行業界の仲間達と休暇で、ほぼトルコ一周(・・・・・・・)旅行をしました。帰りの飛行機の中で〝またすぐ来なくっちゃ!〟と堅く決意をしたものの、まだ行けていないのです。 そうこうしているうちに宗教がらみ(?)の爆弾テロまで何度か起こって、行くの怖いなあ……と思いながら、でもやっぱり素敵な国だ!と思い起こさないわけには行きません。
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小説 福袋 初出年: 2008年
炎天下、私はさっき会ったばかりの女性と大阪の町を歩いている。あまりに暑く、光景が歪んで見えるせいで、すべてにおいて現実味が欠けている。知らない町を知らない女と歩く夢を、夢と気づかず見ているようだ。 彼女は山口三重子といい、三十九歳ということだったが、しみの浮き出た肌やぱさついた頭髪、しわがれた声から判断すると五十歳近くに見え、けれどデニムのミニスカート、胸元の大きく空いたラインストーンつきのカットソーという出で立ちやべたべたした要領を得ない話し方は二十代前半の小娘のようで、彼女が醸(かも)</r
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ノンフィクション LE JOUR OÙ LE SOLEIL EST TOMBÉ… 初出年: 2007年
J’avais quatorze ans à Hiroshima Le matin du 6 août 1945, je suis sortie de la maison et j'ai regardé le ciel. Comme souvent en cette saison, le ciel ...
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評論・研究 芸能都市論 初出年: 2007年
1 祭りと芸術 芸能の始まりは、神祭りと深い関係を持つ。そこで、まず西欧の祭りと芸術の関係を調べ、次に日本の祭りと芸能の関係について述べることにする。 西欧の場合、祭りと芸術の関係は、ディオニュソス神の祭祀を執行する円形劇場が古代ギリシャのアテナイ市に作られた紀元前6世紀まで辿ることができる。これは、都市の集落的性質を色濃く反映するものであり、収穫祭から発生して後に芸術へ向かうギリシャ悲劇の誕生過程を表している。つまり、ギリシャ悲劇は、ディオニュソスの祭りから生じ、紀元前5世紀にアテナイ市に出現した三大悲劇詩人である、アイスキュロス、ソフォクレス、
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評論・研究 相撲の日本的なるもの 初出年: 2007年
土俵の風水 1 土俵上の設計 土俵を調べていると、ふと、気にかかる事象に出くわした。それは、屋根から吊るされた四色の大房だった。この房に隠された意味を求めて、調査を進めていくうちに、日本文化の特徴が土俵場に現れていることに気づいた。 相撲に土俵場を使うようになったのは、江戸初期頃だが、当初の土俵場は、四斗俵あるいは五斗俵の俵に土を詰めて、平地の上に一重の円形をつくったものであった。また、一部に四角の土俵場も使われ、岩手県に伝えられたが昭和初期ごろ途絶えている。 実際に土俵場の広さなど
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小説 ダウト! 初出年: 2007年
久しぶりに自宅の机の整理をしようと、抽斗(ひきだし)を開けた。その奥から古びた一組のトランプが出てきた。 そういえば子供の頃、遠くから従姉妹(いとこ)たちが遊びにくると、よくトランプゲームをした。「七並べ」「ポーカー」「神経衰弱」と続き、最後は「ダウト」。いつも決まって最後は「ダウト」だった。 人数分均等にカードを配り、時計回りに順番を決め
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詩 詩集『白い記憶』(抄) 初出年: 2007年
第Ⅰ章 白い記憶 白い記憶 八十歳を迎えようとするとき 父は地元の「医師会報」にと 自分の歩んだ道を 体験談を交え 口伝で私に書き記させた 戦時中に父が書いた ガリ版刷りの戦時記録を 初めて目にしたのも その時だった
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小説 みんな黄門 初出年: 2007年
一 元来、私は寄席が嫌いだ。 浮世学問の場などとありがたがる手合(てあい)もいるが、とんでもない。 世の中に落し咄(ばなし)ほどくだらぬものがあろうか。 口先だけでぺらぺらと調子のいい絵空事を語るのが稼業とは申せ、咄家(はなしか)
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詩 『生まれ来る季節のために』(抄) 初出年: 2007年
目次 序 詩 第一部 浅い呼吸はプネウマを求める ナチュラルエチュード(K・Nに捧げる) 慈しみの密儀の森の中で 季節への手紙 エトルリアの響き 地下鉄道(アンダーグラウンド) 果実の卵 ポスト・モダニズムの光と翳の中で ムーサイ(ミューズ)に捧げる 一万年の愉楽(重力の都市) <p clas