検索結果 全1008作品 公開年逆順 公開年順 作家名逆順 作家名順 作品名逆順 作品名順

  • 俳句 石田 波郷 波郷二百句

    プラタナス夜(よ)もみどりなる夏は来ぬ (『石田波郷句集』より) バスを待ち大路の春をうたがはず (以下『鶴の眼』より) あえかなる薔薇撰(え<r

  • 小説 石濱 金作 ある死ある生

    一 人間の死んでゆくところを見た話は自分は沢山聞いたが、その中でどういふものか友人A君のして呉れた話が、自分には一番鮮やかに記憶にのこつてゐる。それは次のやうな話だ。 (季節のうちで、自分は夏から秋に移る頃が一番好きだ。八月の末になると、日本にはよく颱風が来る。夜明け方から来たり、また夕暮時から初まつたりして、それの通つたあとは、全く天気が一新する。他の季節のうちで、この夏から秋に移る時位際立つて季節の歩みが感じられる時はない。 さういふ日の或

  • 評論・研究 赤瀬 雅子 荷風におけるボエームの夢

    明治41年、荷風がロンドンを経て帰朝した年『早稲田文学』の11月号に載せられ、その翌年『ふらんす物語』に収録された「蛇つかい」からは、放浪の生活にたいする若い荷風の共鳴・共感が、痛ましいまでに伝わってくる。彼はこう述べる。 自分はもう里昴(リヨン)に飽きた。も少し違った新しい空が見たい。新しいものは必ず美しく見える。倦んだ心に生気を与える。鈍った神経に微妙な刺激を与える。無宿浮浪の見世物師の境遇を更に詩趣深く思返した。彼等は燕と同じよう冬の来ない中に、

  • 評論・研究 赤木 桁平 「遊蕩文學」の撲滅

    一 精神的文明の頽廃と糜爛(びらん)とに促されて、徳川幕府の中葉以後現れ初めた文学上の一傾向であるが、我国の文壇には、予の自ら呼んで以て「遊蕩文学」となすところのものが、久しい間非常な勢力を揮(ふる)つてゐた。現に明治期の事実に照して見ても、<ruby

  • 短歌 折口 春洋 鵠が音(たづがね)

    ルビないし( )内のカタカナは、原文のまま。( )内の*カタカナは、ひらがなの英語表記、ルビないし( )内のひらがなは、電子文藝館編輯室が付した。また、歌集には、編纂・出版への労をとり、なかなか進まない出版を待ちながら、戦前から戦後まで8年間に書き溜めた養父・折口信夫(釋迢空)の「追ひ書き」が、都合「その五」まであるが、息子の生死の境を挟んで、父親としての真情が最も溢れていると感じられる「その三」を作品の末尾に付記した。(電子文藝館編輯室) 昭和十九

  • 千家 元麿 自分は見た(抄)

    創作家の喜び 見えて来る時の喜び それを知ら無い奴は創作家では無い 平常は生きてゐても、本当ではない 自分の内のものが生きる喜びだ。 自分の内の自然、或は人類が生きる喜びだ。 創作家は、その喜びの使ひだ。 初めて子供を 初めて子供を 草原で地の上に下ろして立たした時 子供は下許(ばか)</r

  • 評論・研究 千葉 卓三郎 日本帝国憲法(「五日市憲法草案」)

    第一篇 国帝 第一章 帝位相続 第二章 摂政官 第三章 国帝権理 第二篇 公法 第一章 国民権理 第三篇 立法権 第一章 民撰議院 第二章 元老議院<

  • 評論・研究 川桐 信彦 世界状況と芸術の啓示性

    序 1919年に『文化の神学の理念について』を発表したティリッヒは、次いで1926年に『今日の宗教的状況』を、更に1945年に『世界状況』を発表している。いわゆる時代批評としては、他に16篇を数えるが、いずれも「文化の神学」の成果(1)を適用し、具体的、具象的次元での議論の展開ではこれらの二論文はその代表的なものであろう。ティリッヒの弁証神学の根幹にあるのは、人間の本質主義的要素から疎外された実存主義的要素を指摘し、そこから生じる問いに答えるという方法論である。しからばその指摘する実存的状況の分析の妥当性が問われ

  • 小説 川口 松太郎 弁天小僧

    私は文士劇で弁天小僧を二回やった。はじめは歌舞伎座で稲瀬川の勢揃(せいぞろ)い。二回目は帝劇で浜松屋。勢揃いが好評だったので、二度目は逆に浜松屋をやったが、素人芝居にはむずかしい役柄だった。最初が女で、途中から男に変る。その変り場が見せ場で、うまく行けばやりばえがある。日本駄右衛門が久保田万太郎。南郷力丸が中野実。浜松屋幸兵衛が宮田重雄。倅宗之助(せがれそうのすけ)が岩田専太郎。番頭与十郎が永

  • 小説 川上 眉山 ゆふだすき

    一 いや、驚いたよ君、何ものほほんで歩いて居た訳ぢやなかツたが、不意に横ツ手から、 「あら、まア、梅原さんぢやアありませんの。」 と甲(かん)の高い、調子の走ツた、化生(けしやう)の者の叫び声だ。何者と振返ツて見ると、銀鼠(ぎんねず

  • 評論・研究 川端 康成 新進作家の新傾向解説

    一 新文藝勃興 文藝に興味を持つてゐる総ての人々が、今日注目しなければならない第一の目標は、今日の新進作家である。新進作家が持つてゐる「新しさ」である。この新しさを理解すると云ふことばかりが、新しい時代の文藝の王国へ入国を許されるために必要な、唯一つの旅行券である。これがない人々は、明日の文藝界に於て、創作家であることも観賞家であることも、拒まれるにちがひない。 祖母の腹から孫は生れない。孫にも母がなければならない。祖母が子と呼ぶ者を、孫は母と呼ぶ。これと同じやうに、将来の文藝の世界に生きよう

  • 小説 川端 康成 片腕

    「片腕を一晩お貸ししてもいいわ。」と娘は言った。そして右腕を肩からはずすと、それを左手に持って私の膝(ひざ)においた。「ありがとう。」と私は膝を見た。娘の右腕のあたたかさが膝に伝わった。「あ、指輪をはめておきますわ。あたしの腕ですというしるしにね。」と娘は笑顔で左手を私の胸の前にあげた。「おねがい……。」<div align="justify

  • ノンフィクション 川島 民親 スズメバチの死闘

    第一話 スズメバチの眼 百年バチ 真夏の午さがり、村は死んでしまったように静かだ。セミの鳴き声だけが夏を呼吸している。村の屋並のむこうには観音寺山、明神山とふたつの頂きを持つ繖山(きぬがさやま)の稜線が、暑い空に圧しつけられながらデンとがんばっている。乳白色にかすんだ空高く、オニヤンマが山の方へ一直線にするどく翅(と)</

  • ノンフィクション 川島 民親 ぼくの動物記 1

    第一話 漆黒の流線――ツバメ トンネル 五月雨に村里は明るくかがやいていた。篠突く雨の音のなか、ものが静かに動いている。蓑笠(みのかさ)を着けたお百姓が黙々と田植えを急いでいる。あふれる水に早苗は溺れそうになっているが、それでもけんめいに背伸びをして水面にかわいらしい二枚の葉を浮かべている。水面をたたいた雨粒が早苗の上に小さな水玉をピョコンとのせる。水玉は銀色に光りかがやく。雨の波紋に、葉は水玉

  • 小説 川浪 春香 源吉むかし語り

    へぇ、源吉はあたしです。駄目ですよ、昔のことなんかきれいさっぱり忘れちまった。さかさにしても鼻血も出ねえや。さア、天保九年の生まれだから、今年でいくつになるかね、六十七か八か、そんなところでしょう。この歳で夜店を出しているのは珍しいって? はン、お客にもよく言われますよ。けど、ごらんのとおりの古道具を商って、おまんまをいただくしか能がねえから仕方がない。それでもまア、かかあとふたアり、こうやって無事に生きのびてこられたんだから、神仏に手を合わせなきゃいけませんかね。子ども? ハハ、そういや昔いたんですよ。こんな小せえ子どもがね。今頃どうしているでしょう。しかし、こっち

  • 小説 川浪 春香 妖妄譚

    女は仁和寺の門前に立っている。 椋鳥(むくどり)が赤松の梢でひとしきり啼いた。もう陽が山の端に傾きかかっている。うるんだような眸の中を、西日が赫々と照らしている。女は左右を見つめ、背伸びをしながら街道を見はるかした。 さっきから、いくたび彼方此方を見つめたことだろう。牛車(ぎっしゃ)も通った。<rb

  • 評論・研究 扇谷 正造 雑誌編集のコツ

    1 雑誌の種類とその特色 わたくしが「週刊朝日」の扇谷であります。 わたくしのほうの雑誌は、大衆雑誌ということになっております。 雑誌の種類をわれわれは、(一)総合雑誌、(二)婦人雑誌、(三)大衆雑誌、それに(四)少年少女雑誌、(五)文学雑誌、(六)その他と分けております。また一括してこういう雑誌を一般に商業雑誌とも申しております。というのはこの種の雑誌は、その発行によって利潤をあげているからであります。雑誌発行の少

  • 戯曲 泉 鏡花 海神別荘

    時 現代 場所 海底の琅玕(らうかん)殿。 人物 公子。 沖の僧都(年老いたる海坊主)。 美女。 博士。 女房。侍女(七人)。黑潮騎士(多數)。 <di

  • 小説 泉 鏡花 龍潭譚

    《目次》 躑躅か丘 鎮守の社 かくれあそび あふ魔が時 大 沼 五位鷺 九ツ谺 渡 船

  • 浅井 十三郎 越後山脈(抄)

    《目次》 吹雪の中にうたふ生命贐(はなむけ)風の中の風にうたふ風の風景越後山脈愛情の書 <