検索結果 全1015作品 公開年逆順 公開年順 作家名逆順 作家名順 作品名逆順 作品名順

  • ノンフィクション 堀 武昭 世界マグロ摩擦!(抄)

    南太平洋の島々にて ――海とマグロとアイランダーズ フィジーにて 南太平洋島嶼(とうしょ)国が一国で大学を運営するのは財政的にも負担が大きい。そこで南太平洋フォーラムのメンバー国が集まってそれぞれ基金を設定し、この全地域を統括する総合大学が誕生した。一九九三年七月、私はフィジー共和国で一週間にわたって開催される南太平洋民族科学会議に出席することになった。フ

  • 評論・研究 堀上 謙 能狂言私観

    狂言の話芸性 「話芸」というのは、大ざっぱな言いかたをすると、口舌の芸すなわち〈話の芸〉のことである。つまり、落語、講談、浪花節などのように、〈話す〉、〈読む〉、〈語る〉といった技法で表現する芸が、一応、話芸というジャンルでくくれるわけだ。それを、さらに漫談、漫才、活弁、古くは節談説教から、隣接する〈語り物〉の平曲、浄瑠璃のたぐいにまでひろげることもできるわけである。 最近、「話芸」ということ

  • 堀内 みちこ さみしがりやの思い出小箱

    朝陽の映画館 月の光をもっと欲しいよ 海面に三角小波が背のびしている 満月の海ぞいの道をバイクで飛ばしている私から 悲しいことかなしいことカナシイコトが はがれ吹き飛ばされ私は天使 これで おさらばだ 悲しいことの全部と 満月色の海上を疾走したいとハンドルを切った バイクはガードレール飛び越し海に突っ込み海底で 眠ってしまった 翼をもがれて陸へ上がった私に <

  • 堀内 みちこ 小鳥さえ止まりに来ない

    目次 水蜜桃 死んだふりして 時代は変わる オレンジの花の香り 少年の日 腕時計 少女時代 月光のオートバイ 小鳥さ

  • 評論・研究 本間 久雄 人生派の批評と藝術派の批評

    一 文藝批評の標準又は態度といふことが、事新しく最近文壇の一つの問題となつたが、この問題の解決は、要するに人生派の批評と藝術派の批評との是非論に外ならない。今更いふまでもなく文藝批評の標準を、鑑賞家乃至批評家の主観以外の外的な境地に求めるやうなフォーマリズムの批評は、今日ではすでに跡を絶つた。「人は皆自己を標準として万事を判断する。人は自己の外に何等の標準をも持たない。」と云つ

  • 小説 夢野 久作 悪魔祈祷書

    いらっしゃいまし。お珍しい雨で御座いますナアどうも……こうダシヌケに降り出されちゃ敵(かな)いません。 いつも御贔屓(ひいき)になりまして……ま……おかけ下さいまし。一服お付けなすって……ハハア。傘をお持ちにならなかった。ヘヘ、どうぞ御ゆっくり……そのうち明るくなりましょう。 どうもコンナにお涼しくなりましてから、雷鳴入

  • 小説 木下 径子 雪の夜

    雪の夜 救急車のサイレンが聞こえてくる。硝子戸の外には雪が降っていた。 深夜に出動した救急車は次第に住宅地に近づいてきた。まるで、静かに降り積もった雪を大きな身振りで蹴散らさんばかりの勢いである。 この冷え込んだ夜に近所に急病人が出たのだろうか。まさか祭りのときのようなはしゃぐ気持ちを各家に告げながら、サイレンをばらまいているのではないだろう。住民の深い眠りを妨げる。 サイレンが少

  • 小説 木下 尚江 火の柱(抄)

    (十四 承前) と篠田はお花を奨(はげ)ましつ「誠(まこと)に世の中は不幸なる人の集合(あつまり)と云うても差支(さしつかへ<

  • 木下 杢太郎 食後の唄(抄)

    金粉酒 Eau-de-vie de Dantzick (オオ ド ヰイ ド ダンチック) 黄金(こがね)浮く酒、 おお五月(ごぐわつ)</

  • 木全 功子 座り直す

    目次 座り直す 闇のむこう めぐる 息を詰める 耳鳴り 来世など信じない 花びら 古い新聞 魂よ

  • 評論・研究 木村 亨 横浜事件の真相 再審裁判へのたたかい(抄)

    目次 降伏放送直後の細川レポート 敗戦直後の裁判所側のうろたえざま 事件のでっち上げは誰の謀略か 出獄直後の体調を整える ぼた餅のたべ方を知らない日本人 笹下会の結成と共同告発 <a href="#C7

  • 小説 木村 曙 操(みさを)くらべ

    春 心ありて風のにほはす梅のそのまづ鶯の問はずやあるべき 香り来る、花のたよりに皆人の、はるばると問ふ梅の園、いづれおとらぬにぎはひに、人の心も興ずめり、茲(こゝ)ハ都に程近き、亀井戸村に其名さへ、老松(おいまつ)と聴(

  • 随筆・エッセイ 木村 徳三 文芸編集者 その跫音(抄)

    改造社解散前後 昭和十年代が、日本の近代文学史上、際立って多彩な収穫期だとするのが定説になっているが、それは太平洋戦争の勃発によって終止符を打たれたといってよい。端的なあらわれは、その年の夏、東京新聞に連載中の徳田秋声氏の「縮図」が当局の圧力によって掲載中止させられたことであった。 時勢はそこまできているのかという感が私たちの胸に痛烈にきた。『文藝』にあっても、昭和十四年に高見順氏の「如何なる星の下に」、十五年の中野重治氏の「空想家とシナリオ」の連載以後は、これという佳品は得られなかった。表現の自由を奪われた文学者の大半は沈黙せざるを得ず、しか

  • 小説 木村 良夫 嵐に抗して<昭和5年(1930)発表>

    工場から帰つて見ると置き手紙があつた。筆跡は同居人の吉村である。 「僕の帰る迄待つて居てくれたまえ」と、吉村は私が今夜九時迄に工場分会に集会が在るので、出席しなければならない事は知つて居る筈だつた。それなのに、私が工場から帰るのを待たずに、置手紙をして行つたのには、分会に対する特別の問題があるのか、又は分会の集会よりもつと重大な仕事が出来たのか、何(いず)れかだつた。七時が過ぎ八時が過ぎても吉村は帰らなかつた。分会では私の行くのを待つて居るだろうと思うが、吉村はそれを承知の

  • 木島 始 日本共和国初代大統領への手紙

    大統領よ ぼくらの大統領よ おくらせてもらおう すぐ消(き)えるようでいて消(け)せない手紙を きみに 夢の絵文字になって現われるようにとの 真夜中の手紙を 心が植えた真昼の手紙を 光をあてれば雲と散る夢もあれば 謎ときの光

  • 木島 始 予兆

    1 ぼくらは ひととき その予兆に たじろいだ 原始の沃野から 古代から 中世の信仰へ その中世から 言い伝えられた魂のように 上昇する一瞬の 煙となって ぼくらの肉体のすべてが焼きつくされる日 ぼくらの家が バラックが ぼくらの樹木が 黒く 全人類の 全地球の 空を焦が

  • 評論・研究 門 玲子 只野真葛小伝

    父と娘 只野真葛は江戸女流文学者の中では、ひときわ大きな異色の存在であるが、その生涯や作品が一般に広く知られているとは言いがたい。他の女流文学者たちも同様である。今、真葛の作品を論ずる前に、その生涯を一通り辿ってみたいと思う。 真葛の生涯を考えるときに、その父工藤平助の存在を抜きにすることはできない。父平助の活躍期と真葛の成長期は、綯いあわされた一本の綱のように絡まっており、また真葛の後半生も強く父に規制されている。 只野真葛は宝暦十三年(一七六三)、江戸日本橋数寄屋町で生まれた

  • 随筆・エッセイ 門 玲子 江戸女流文学に魅せられて

    江馬細香との出会い もう三○年以上前のことになる。ある日、故中村真一郎氏の随筆『氷花の詩』(冬樹社・昭和四六年)を読んでいた。亡くなった金沢の友人が「二冊あるから」と貸して下さったものだ。私は以前から中村氏のエッセイ、評論を愛読していた。氏は作家でありフランス文学者なので、当然ヨーロッパ全般の文学に造詣が深く、また平安王朝文学にも通じておられる。『氷花の詩』には中村氏の知の世界が、西洋と日本を、現在と過去を自在に往き来して、縦横に語られていた。 <p

  • 小説 門脇 照男 風呂場の話

    風呂場を建てよう、と言い出したのは父だった。 「木は山へ行ったら、いくらでもあるけん」というので、僕は父について山へいった。 僕はそれまで、父の山へ行ったことがなかった。 「お前もうちの山がどんな山か、どこが境か見ておいたらいい」と父は言った。 「うん」と僕はきまり悪げに返事して、この年がきて(僕は今年、満三十七才になった)まだ父に百姓仕事は任せ切り、気儘な学校勤めをしていることを恥ずかしく思った。僕はこの家へ養子に来てから、ほんとに百姓仕事はしなかった。しなかったというよりは、そんな百姓仕事を極端に嫌って、スキがあれば

  • 随筆・エッセイ 野間 清治 『キング』創刊前後

    禍の効用 大正十二年(1923)の震災によって、直接間接こうむった損害を金に見積ったらどれくらいになるか、かなりの額に上ったのであるが、しかしあくまでも「禍の効用」を信じてやまない私は、むしろこの災難がもたらした利益の方を計算したい。その利益の一つは、私がそれまでに企図した最大の計画、すなわち大正十三年(1924)の一月を目指して準備を進めつつあった『キング』の発刊、これが震災に遭って延期を余儀なくされたことである。この延期のために、