検索結果 全1052作品 公開年逆順 公開年順 作家名逆順 作家名順 作品名逆順 作品名順

  • 戯曲 菊池 寛 父帰る 初出年: 1917年

    人 物 黒田 賢一郎 二十八歳 その弟 新二郎 二十三歳 その妹 おたね 二十歳 彼等の母おたか 五十一歳 彼等の父宗太郎 時<div align="just

  • 小説 吉田 絃二郎 島の秋 初出年: 1917年

    「清(せい)さん一時(いつとき)俺が持たう。」 でつぷりと肥つた五十恰好の日焦けのした男は前に歩いてゐる色の青白い若者に声をかけた。 「なあに、親方、重くも何ともありませんから……」 清さんと呼ばれた若者はかう言つて肩にしてゐる振り分けの荷物をもう一方の肩にかへた。前の方の荷は四角な木の箱を白い布で巻いて、さらにその上を人目に立たないやうに<r

  • 評論・研究 有島 武郎 惜しみなく愛は奪ふ 初出年: 1917年

    概念的に物を考へる事に慣らされた我等は、「愛」と云ふ重大な問題を考察する時にも、極(ごく)習俗的な概念に捕へられて、正当な本能からは全く対角線的にかけへだたつた結論を構出してゐる事があるのではないか。「惜しみなく与へ」とポーロの云つた言葉は愛する者の為す所を的確に云ひ穿(うが)つた言葉だ。実際愛する者の行為の第一の特徴は与へる事だ。放射する事だ。我等はこの現象から出発して愛の本質を帰納しやうと

  • 評論・研究 赤木 桁平 「遊蕩文學」の撲滅 初出年: 1916年

    一 精神的文明の頽廃と糜爛(びらん)とに促されて、徳川幕府の中葉以後現れ初めた文学上の一傾向であるが、我国の文壇には、予の自ら呼んで以て「遊蕩文学」となすところのものが、久しい間非常な勢力を揮(ふる)つてゐた。現に明治期の事実に照して見ても、<ruby

  • 添田 啞蟬坊 新流行歌集(抄) 初出年: 1916年

    目次あゝわからないあゝ金の世 ○あゝわからない ○あゝわからない/\。今の浮世はわからない。 文明開化といふけれど。表面(うはべ)ばかりじやわからない。 瓦斯(<

  • 福田 正夫 農民の言葉 初出年: 1916年

    目次 序 Ⅰ 四十男の縊死 しちめん様のまつり 加瀬の山から 低能児 御会式のだいもく 四十男の縊死 Ⅱ 農村より 村祭の酒宴から 偉大なる農民 農村より 仮装行列 霧の朝 畦路から 姉さんの死 恐しいそして無智な女 Ⅲ 農民の言葉

  • 評論・研究 宮武 外骨 政教文藝の起原は悉く猥褻なり 初出年: 1915年

    進化説を骨子とせる新科学の上より見れば、道徳観念は原人が社会を組織する必要上発生せし思想の習性たること明かなり、而(しか)して其(その)道徳観念の一たる羞恥の感の如きも、生存競争の一事象より起りしものたること論なき所とす、裸体にして恥(はぢ)ざりしは原始時代の常態にあらずや、後世の政治家は其道徳観念

  • 山村 暮鳥 赤い林檎 初出年: 1915年

    手 みきはしろがね ちる葉のきん かなしみの手をのべ 木を揺(ゆす)る 一本の天(そら)の手 にくしんの秋の手 青空に

  • 随筆・エッセイ 辻村 伊助 スウィス日記(抄) 初出年: 1915年

    序 忘却は人間の有する最大の幸福である。私達の目まぐるしい生活が、あらゆる感情の綯い交じったその日その日が、有りの儘に私達の在る限り、胸の中にたたまれてあるとしたら、それを負うて歩まねばならぬ人の運命はいかに悲惨なものだろうか。 雑然たる生活の断片を紙に残すのは、この意味に於て明らかに矛盾である。しかもそれを敢えてするのは私の過去に於てアルプスの雪の間に送った月日が、そのいずれの瞬間を思い出しても何の悔ゆることのない、白日に露すとも何等不安を感じない生活であったのを確かめているからである。 山に対する時私は云い知

  • 評論・研究 夏目 漱石 私の個人主義 初出年: 1914年

    私は今日初めてこの学習院というものの中に這入(はい)りました。尤(もっと)も以前から学習院は多分この見当だろう位に考えていたには相違ありませんが、判然(はっきり)とは存じませんでした。中へ這入ったのは無論今日が初めてで御座います。 先程岡田(

  • 小説 上司 小劍 鱧の皮 初出年: 1914年

    一 郵便配達が巡査のやうな靴音をさして入つて来た。 「福島磯(いそ)……といふ人が居ますか。」 彼は焦々(いらいら)した調子でかう言つて、束になつた葉書や手紙の中から、赤い印紙を二枚貼(は)つた封の厚いのを取り出し

  • 小説 森 鷗外 安井夫人 初出年: 1914年

    「仲平(ちゆうへい)さんはえらくなりなさるだらう」と云ふ評判と同時に、「仲平さんは不男(ぶをとこ)だ」と云ふ蔭言(かげこと)が、淸武一郷(きよたけいちがう)に傳へられてゐる。 仲平の

  • 短歌 長塚 節 鍼の如く 全 初出年: 1914年

    鍼の如く 其一 白埴の瓶こそよけれ霧ながら朝はつめたき水くみにけり 秋海棠の画に 曳き入れて栗毛繋げどわかぬまで櫟(くぬぎ)林はいろづきにけり りんだうの画に 無花果(いちじゆく<

  • 小説 有島 武郎 An Incident 初出年: 1914年

    彼はとうとう始末に困(こう)じて、傍(かたはら)に寝てゐる妻をゆり起した。妻は夢心地に先程から子供のやんちやとそれをなだめあぐんだ良人(おつと)の声とを意識してゐたが、夜着に彼の手を感ずると、警鐘を聞いた消防夫の敏捷(びんせ

  • 永井 荷風 珊瑚集(仏蘭西近代抒情詩選) 初出年: 1913年

    目次 シャアル・ボオドレエル: 死のよろこび 憂悶 暗黒 仇敵 秋の歌 腐肉 月の悲しみ アルチュウル・ランボオ: そゞろあるき ポオル・ヴヱルレエン: ぴあの ましろの月 道行 夜の小鳥 暖き火のほとり 返らぬむかし 偶成 ピエエル・ゴオチェ: 沼 エドモン・ピカアル: 池

  • 小説 岩野 泡鳴 醜婦 初出年: 1913年

    弟の友人が二階で二三名、興に乗じておほ声で頻(しき)りに何か話し合つてゐるのを聴きながら、京子は茶の間の火鉢のふちに両肱をつき、招き猫のやうな手つきの上に顎(あご)を載せて、余ほど鋭敏に耳をそば立ててゐた。 弟は、いつのまに勉強したかと思はれるほど詳しく、音楽のことを話してゐた。すると、また、小説のことに移つて、今の作家のうちで誰れはどうの、彼れはかうのと云ひ出した。 </p

  • 小説 水野 仙子 神楽坂の半襟 初出年: 1913年

    貧といふものほど二人の心を荒くするものはなかつた。 『今日はお精進かい?』とでも、箸を取りかけながら夫がいはうものなら、お里はそれが十分不足を意味してるのではないと知りながら、 『だつて今月の末が怖いぢやありませんか。』と、忽ち怖い顔になつて声を荒だてる。これだけ経済を為し得たといふ消極的な満足の傍(かたはら)、夫に対してすまないやうな気の毒のやうな、自分にしても張合のない食卓なので、恰(あたか</rt

  • 小説 素木 しづ子 松葉杖をつく女 初出年: 1913年

    現ともなく、圧しつけられる様な息苦しさ。カバーを掛けた電気の光が、黄色い靄の様に漲(みなぎ)つて、毛布の上に重くかさなり合つて居るのを、水枝は細目に見やつて、やがてふいと勇者の様に起き上つて、強ひて瞳を大きく見張つた。シーンと頭が重く沈まり返つて、すべての感覚を失なつた様な自分の肉体がすべて空気の中に溶けあつて、わけが解らなくなつた様に思はれた。が水枝自身は強ひてさう云ふ風に茫然(ぼんやり<

  • 小説 相馬 泰三 六月 初出年: 1913年

    まあ、なんと云つたらいゝだらう、――自分の身体がなんの事もなくついばらばらに壊れてゆくやうな気持であつた。身を縮めて、一生懸命に抱きしめてゐても、いつか自分の力の方が敗けてゆくやうな――目が覚めた時、彼は自分が夥しい悪寒(をかん)に襲はれてがたがた慄へてゐるのを知つた。なんだかそこいらが湿つぽく濡れてゐる。からだの何所かが麻痺(しび)れて知覚がない。白い、濃淡のない、おつぴろ

  • 小説 平出 修 逆徒 初出年: 1913年

    判決の理由は長い長いものであつた。それもその筈であつた。之を約(つづ)めてしまへば僅か四人か五人かの犯罪事案である。共謀で或る一つの目的に向つて計画した事案を見るならば、むしろこの少数に対する裁判と、その余の多数者に対する裁判とを別々に処理するのが適当であつたかも知れない。否(いな)その如く引離すのが事実の真実を闡明(せんめい<