検索結果 全1013作品 公開年逆順 公開年順 作家名逆順 作家名順 作品名逆順 作品名順

  • 随筆・エッセイ 水樹 涼子 とちぎ綾織り(抄) 〜下野の歴史と伝説を訪ねて〜

    目次 大谷にて(神に出会う異界の入り口)思川――上流編(残る伝説に思い馳せ)聖地・日光〈一〉(開山挑戦三度目の謎) 大谷にて(神に出会う異界の入り口) この秋、久しぶりに宇都宮市の大谷を訪れた。 幼

  • 小説 水上 瀧太郎 山の手の子

    お屋敷の子と生れた悲哀(かなしみ)を、泌み々々と知り初(そ)めたのは何時(いつ)からであつたらう。 一日(ひとひ)一日と限り無き喜悦(

  • 水野 るり子 星の間で

    カモメ カモメは河口にいる 蛇行する川のしるしが 海岸線に断ち切られ ふいに消える場所 カモメはその河口の上を飛びかいながら 海の裏側でたえず生まれてくる 小魚の群れを見張っている カモメを知りたいときには 河口に行かなくてはならない だがカモメの方法や川の方向 <

  • 小説 水野 仙子 神楽坂の半襟

    貧といふものほど二人の心を荒くするものはなかつた。 『今日はお精進かい?』とでも、箸を取りかけながら夫がいはうものなら、お里はそれが十分不足を意味してるのではないと知りながら、 『だつて今月の末が怖いぢやありませんか。』と、忽ち怖い顔になつて声を荒だてる。これだけ経済を為し得たといふ消極的な満足の傍(かたはら)、夫に対してすまないやうな気の毒のやうな、自分にしても張合のない食卓なので、恰(あたか</rt

  • 評論・研究 水野 廣徳 平和への直言

    目次 個人掠奪と国際侵略死産の侵略定義戦争と投機戦争ファン戦争消滅の最捷路「厳重抗議」と「断然一蹴」平和と戦争反対日本対英米露戦

  • 杉浦 伊作 半島の歴史(抄)

    目次 半島の歴史ポートレート —PAUL WOLFの作品—峠孤貧 —A Widow— 半島の歴史 半島にひとつの入江がある。山につゝじの咲くころ。若葉 のむげにかほり。水苔のあたりぜ

  • 評論・研究 杉山 平助 商品としての文学

    藝術品はその他の一般的生産物と等しく、自然的素材に人間労働力が加つて初めて出現する。従つてひとたび完成されて社会的関係にいるや否やその他の一般的生産物たる靴、傘、刀剣、自動車等々と何等の区別なく社会の経済関係の歴史的変化に従つて、その社会的性質を規定される。 たとへば米や織物のやうな一般的生産物が、一団体内の分担的労働の産物として生産されるやうな原始社会では、詩人もまた自分自身あるひはごく親近な人々の衝動を代表して詩を製作したので、それも狩猟あるひは農耕の片手間の製作であり、その詩的生産に対して別に報酬も受けず、あるひはきはめて僅かにその他の労働分担を軽減してもらへた

  • 小説 杉本 苑子 今昔物語ふぁんたじあ(抄)

    怪 力 1 「あぶないッ、逃げろッ」 「突かれるぞッ」 とつぜん、わきおこった大声に、『腹くじり』の春王は、おどろいてうしろをふりかえった。 暴れ牛だ。 荷はこび用の、真っ黒な大牛が、なにを怒ったか、背に青竹の束を山なりに積んだまま、ひきちぎった手綱をひきずりひきずり、街道をまっしぐらに狂奔してくる。 「とめてくれえ、……だれか、おさえてくれえ」 牛飼いであろう、わめきながら追ってくる

  • 小説 杉本 利男 錆びた十字架

    (1) 北品川の工場地帯に住宅街が割り込んでいる地域がある。山の手側は外国大公使館の厳めしい建物が、濁った青空を背に広がっている。線路一つの隔たりが、石垣の色や庭木の育ちまでも違わせている。 木造二階建ての古いアパートに土井一家が越して来たのは、花曇りの日であった。主人の芳雄は四十過ぎで、いかにも意志強固と見えて、いつも歯を食いしばっている。そのせいか <

  • 小説 杉本 利男 暮れ烏(がらす)

    (1) 辺りが白み始める頃、鈴木千代乃は裏の畑へ出て行った。千代乃の畑には茄子、隠元豆、ピーマンやトウモロコシなどが栽培されている。彼女の畑の隣には、ビニールの温室が工場のように広がっている。夏になった今は廃屋の惨めさを曝すように、ビニールがだらしなく垂れ下がり、骨組のビニールパイプをむき出しにしている。実を取られた茄子の枯れ茎などが林立している。 千代乃の畑では昔ながらのやり方で、野菜などが作られている。六十七、八歳になる彼女は、息子夫婦が手入れもせずに放置しておく五畝ほどの畑を、一人で切り回している。

  • 小説 杉本 利男 うぶげの小鳥

    きりさめかかるからまつの もえぎのめだちついばむか うぶげのことりねもほそく みしらぬはるをみてなけり —北原白秋— (1) 台東区の一角に寺の多い区域がある。近隣の人々は昔から、その辺りを寺町と呼んでいる。上野隆の育った浄福湯も寺町の中にあった。 浄福湯の斜め前に小料理屋「清川」がある。清川には上野隆とおない年の斎藤清子がいた。隆と清子は幼稚園の頃から、お互いの家に行ったり来たりし

  • 小説 菅 忠雄 銅鑼

    庭の芝生には陽が隈なく照つて、鳩がおりてゐる。秋の日射は日中(ひなか)は未だ暑い。 食堂では三時の喫茶が始まつた。子供の声と茶器の音――それは庭の端からでも聴える。廿歳(はたち)の長男を頭(かしら)に八人の子供は少し多過ぎる。此家の主人――吉田は時折さう思ふ。然し有難い事には、皆

  • 小説 瀬沼 夏葉 薄命(ドストエフスキー『貧しき人々』より)

    しめやかなる都の春の夜(よ)、已(すで)に更けて、暁に近づける頃、ほとほとと戸を叩くは誰(た)が家、内には今しも、窓に倚り眠られぬ苦しさを忘れんと、庭の暗き方を眺めゐる主人、恁(かゝ)る夜更、何人の訪

  • 評論・研究 正岡 子規 萬葉集巻十六

    萬葉集は歌集の王なり。其歌の真摯に且つ高古なるは其特色にして、到底古今集以下の無趣味無趣向なる歌と比すべくもあらず。萬葉中の平凡なる歌といへども之を他の歌集に挿(さしはさ)めば自(おのづか)ら品格高くして光彩を発するを見る。しかも此集今に至りて千年、未だ曾(かつ)て一人の之</

  • 小説 正宗 白鳥 口入屋

    「今井さだと云ふ女の居処(ゐどころ)は此方(こちら)では分らんかい」と、正服(せいふく)巡査は狭い土間に立つて、小(ちひさ)い手帖を見ながら訊いた。 長火鉢の前に坐つてゐた色の黒い大柄

  • 小説 正宗 白鳥 今年の秋

    十月は好季節であるが、毎年雨が多い。旅行しても、家にゐても、日を暮し心地のいゝのは十一月頃からである。今年の秋、私はいかにして過さうか。昭和三十三年十一月一日。私は歌舞伎座で挙行される芸術祭に列席するつもりで家を出て、その次手に、放送局に立寄ることにした。予約してゐた簡単な放送の録音を採って、お茶を飲んでゐると、お宅から電話がかゝつたとの知らせがあつた。世間の用事の乏しい私には外出先きへ自宅から電話のかゝる事なんか滅多にないので、珍しい事と思ひながら、受話器を手にして耳を注ぐと、「郷里(くに)</rub

  • 戯曲 正宗 白鳥 人生の幸福

    人物 安城豊次郎 水島喜多雄 弟 かよ子 異母妹 寺島某 学者 別荘番藤七 </

  • 評論・研究 清原 康正 歴史小説の人生ノート(抄)

    目次 大佛次郎「赤穂浪士」……堀田隼人 黒岩重吾「天風の彩王」……藤原不比等 杉本苑子「弧愁の岸」……平田靱負正輔 吉村昭「大国屋光太夫」……大国屋光太夫 社会の壁に抗する虚無 大佛次郎『赤穂浪士』…堀

  • 小説 清水 紫琴 したゆく水

    第一回 本郷西片町(にしかたまち)の何番地とやらむ。同じやうなる生垣(いけがき)建続(たてつづ)きたる中に、別(わけ)ても眼立つ一構(</

  • 随筆・エッセイ 清水 達夫 二人で一人の物語(抄)

    『平凡』創刊号 久しぶりに、ほんとうに久しぶりに、私は作家の龍胆寺雄氏と再会した。つい先日の、九月一〇日(昭和五十八年)のことである。中央林間に住むこの老作家は八二歳という齢にもかかわらず矍鑠(かくしゃく)と元気であった。むしろ老作家という言葉が似つかわしくなく、壮年作家のように意気軒昂としていた。頭髪はすっかり白髪だが、若いころからの童顔をそのままに、血色