検索結果 全1000作品 公開年逆順 公開年順 作家名逆順 作家名順 作品名逆順 作品名順

  • 評論・研究 正岡 子規 萬葉集巻十六

    萬葉集は歌集の王なり。其歌の真摯に且つ高古なるは其特色にして、到底古今集以下の無趣味無趣向なる歌と比すべくもあらず。萬葉中の平凡なる歌といへども之を他の歌集に挿(さしはさ)めば自(おのづか)ら品格高くして光彩を発するを見る。しかも此集今に至りて千年、未だ曾(かつ)て一人の之</

  • 小説 正宗 白鳥 口入屋

    「今井さだと云ふ女の居処(ゐどころ)は此方(こちら)では分らんかい」と、正服(せいふく)巡査は狭い土間に立つて、小(ちひさ)い手帖を見ながら訊いた。 長火鉢の前に坐つてゐた色の黒い大柄

  • 小説 正宗 白鳥 今年の秋

    十月は好季節であるが、毎年雨が多い。旅行しても、家にゐても、日を暮し心地のいゝのは十一月頃からである。今年の秋、私はいかにして過さうか。昭和三十三年十一月一日。私は歌舞伎座で挙行される芸術祭に列席するつもりで家を出て、その次手に、放送局に立寄ることにした。予約してゐた簡単な放送の録音を採って、お茶を飲んでゐると、お宅から電話がかゝつたとの知らせがあつた。世間の用事の乏しい私には外出先きへ自宅から電話のかゝる事なんか滅多にないので、珍しい事と思ひながら、受話器を手にして耳を注ぐと、「郷里(くに)</rub

  • 戯曲 正宗 白鳥 人生の幸福

    人物 安城豊次郎 水島喜多雄 弟 かよ子 異母妹 寺島某 学者 別荘番藤七 </

  • 評論・研究 清原 康正 歴史小説の人生ノート(抄)

    目次 大佛次郎「赤穂浪士」……堀田隼人 黒岩重吾「天風の彩王」……藤原不比等 杉本苑子「弧愁の岸」……平田靱負正輔 吉村昭「大国屋光太夫」……大国屋光太夫 社会の壁に抗する虚無 大佛次郎『赤穂浪士』…堀

  • 小説 清水 紫琴 したゆく水

    第一回 本郷西片町(にしかたまち)の何番地とやらむ。同じやうなる生垣(いけがき)建続(たてつづ)きたる中に、別(わけ)ても眼立つ一構(</

  • 随筆・エッセイ 清水 達夫 二人で一人の物語(抄)

    『平凡』創刊号 久しぶりに、ほんとうに久しぶりに、私は作家の龍胆寺雄氏と再会した。つい先日の、九月一〇日(昭和五十八年)のことである。中央林間に住むこの老作家は八二歳という齢にもかかわらず矍鑠(かくしゃく)と元気であった。むしろ老作家という言葉が似つかわしくなく、壮年作家のように意気軒昂としていた。頭髪はすっかり白髪だが、若いころからの童顔をそのままに、血色

  • 評論・研究 西 周 百一新論 巻之上(抄)

    或(アルヒト)曰ク、先生ニハ平素ヨリ百教一致ト云フ説ヲ御主張ナサルト承リマシタガ実(マコト)ニ左様デゴザルカ 先生対(コタヘ)テ曰(イハク)、

  • 小説 西垣 通 N氏宅にて・・ルイス・キャロルと思考機械

    (登場する二人のチャールズのうち、チャールズ・ドジソンは『不思議の国のアリス』の作者として知られるルイス・キャロル、チャールズ・バベッジはコンピュータの前身「解析エンジン」の開発者である。) わたしがイーストハムにあるN氏の古い家を尋ね当てたのは、一八八五年秋、ある日の夕暮れのことだった。ドアをノックすると中から妙に印象の薄い中年女が出てきて、ちょうど主人は戻ったところだと言い、中へ招き入れた。まるでこちらの訪問を待っていたようなごく当り前の様子に、わたしは少し拍子抜けがして、とはいうものの警

  • 評論・研究 西垣 通 機械との恋に死す

    1 暗号としての死 「一九五四年、六月八日、アランがベッドの中で死んでいるのを家政婦が発見しました。死因は青酸カリであり、事故はおそらく六月七日の夜におきたと思われます。検視の係官は、毒薬は彼自身が服用したと判断しましたが、不審な点がありました。彼の寝室からは、毒物が何も発見されなかったのです。ベッドのかたわらには、半分食べ残しのリンゴがありましたが、彼は夜、リンゴを食べる習慣だったのです。 銀行にかなりの預金が残っていたので、アランが財政的に悩んでいたとは思えません。名声もつとに高まり、気力も絶頂でしたし、形態発生学に夢中になって

  • 西垣 脩 霧ぬれの歌

    霧ぬれの歌 山女魚(やまめ) 岩魚(いはな)を 籠(こ)に満たし 温泉(ゆ)の宿に売りに

  • 評論・研究 西谷 能雄 編集者とは何か

    はじめに 労働力不足や偏在が叫ばれてから既に久しい。出版界といえども例外ではなく、とくに取次、小売店の流通面における労働力不足は出版界にいろいろの問題を投げかけている。とくに過剰返品のロスにまつわり流通形態の選択の問題が大きく提起されてきていることはその最大なるものである。労働力にこと欠かなかった版元においてすらも、編集希望者こそ今もあとをたたないが、営業部門の志願者はやはり少ない。編集優位の思想がここにも現われていると見ることができる。編集者とはそれほど魅力あるものなのかとの疑問は率直にいって私には残る。知的産

  • 小説 西木 正明 寝袋の子守歌

    一 秋葉原で下車し、電気屋が軒(のき)をならべる駅頭へ歩み出ると、額(ひたい)に冷たい物が当った。日暮までにはまだ間があるのに、各ビルの屋上や側壁に取付けられたネオンサインは、早くも原色の光を周囲に放射しはじめている。それがやけにちらついて見えると思ったら、雪が舞っているのだった。 わたしはレインコートの襟</

  • 評論・研究 青井 史 与謝野鉄幹の三つの壁

    1 壁とは 与謝野鉄幹を主宰とする「明星」が創刊されたのは一九〇〇年(明33)四月だった。その「明星」は一九○八年(明41)十一月、一〇〇号をもって終刊されるまでのおよそ八年間、ロマンチシズムを掲げ、御歌所派と言われた旧派和歌に対峙しつつ短歌革新に力を尽くした。この斬新な文学運動により、江戸時代以降の近世和歌に新風を吹き込んだのだった。わずか八年ばかりで、三〇〇年近い歳月の中で停滞していった和歌を刷新するために「明星」が果した役割は大きい。 もっとも「明星」はこの一〇〇号で一旦終

  • ノンフィクション 青山 憲三 横浜事件(抄)

    第一章 検挙 1 一九四四年一月二十九日 いわゆる横浜事件で私が検挙されたのは、一九四四年(昭和十九年)一月二九日の朝であった。それは土曜日の朝であった。 その明けがた、私は、トントンとドアをたたく音でかすかに眼を覚ました。が、まだ夢ともうつつともつかず、それがはたして私の部屋であるかどうかさえ聞きわける意識も湧かなかった。前夜、つまり金曜日の晩に、陸軍報道班員としてジャワに従軍していた武田麟太郎の帰還歓迎会が、人形町の梅の里という料理屋でひらかれて、私は夜中の一時

  • 随筆・エッセイ 青樹 生子 記憶たずさえて

    筍 雨あがりの午後であることが多かった。 父は、作業衣に着替えると、たいてい 「この鍬」 と指だけさし、せっせと歩きはじめる。後から私がそれを提げて追う。小学校二、三年生の身におとなの使う鍬は重い。何よりも形がよくない。まっすぐに持てば、刃先が足にぶつかる。私は、持ちにくさをそのまま全身で表現しているといった格好のまま、父との距離をつめようとする。 父は歩くのが速かった。それでも、追いかけているうちに、目にぼんやりと、庭すみの草々が勢いを増しているのが映りはじめる。もち草の群れが

  • 随筆・エッセイ 青樹 生子 声ひそやかに

    《目次》 一春めくまでもつばめつみ草しだれ梅初 霜夕べの悲しみ

  • ノンフィクション 青地 晨 横浜事件

    日本版魔女裁判 昭和十九年の一月二十九日の朝、私は神奈川県の特別高等警察(特高)に逮捕された。まったく身におぼえのないことだったので、私は特高に令状の提出を求めた。令状なしの逮捕ではないかと疑ったからである。 特高は、だまって令状を示した。それには横浜地検の山根検事の署名で、「治安維持法違反の嫌疑により逮捕する」むねが書いてあった。たしかに正式の逮捕令状である。私の逮捕に特高が自信をもって臨んでいることがわかったし、これは長いぞと思わないわけにはいかなかった。それを裏づける

  • 短歌 青木 春枝 THE WIND IN THE WOODS

    MEMORIES OF A WOMAN 日の暮れて人の絶えたる花野ゆく吾と吾子らの声のみひびく towards the evening going through a field of flowers people have disappeared just the sound of my voice and my two little boys さ

  • 随筆・エッセイ 青柳 森 地球ウォーカー

    《目次》 1.秘境シーサンパンナを行く 2.台湾山地紀行 3.平遥古城の石碑 4.中国で日本語を教えて </p