検索結果 全1013作品 公開年逆順 公開年順 作家名逆順 作家名順 作品名逆順 作品名順

  • 評論・研究 小林 一郎 吉岡実の長篇詩

    一 支那から中央アジアへ こと吉岡実の詩に関するかぎり一五行の詩だからわかりやすくて、百数十行の詩だから難解だということは、まったくない。ただ、読めば理解できる長い詩が一篇ある。それは〈波よ永遠に止れ〉(《ユリイカ》一九六〇年六月号)という吉岡最長の二五七行の作品で、私の〈吉岡実年譜〉の一九六〇年には「NHKラジオの放送詩集〈波よ永遠に止れ〉(雑誌掲載稿から八○行を削徐して〔五月〕一一日に放送)の本番録音に立ちあう」(平出隆監修《現代詩読本——特装版 吉岡実》、思潮社、1991、二九四ページ)とある。この詩は

  • 小説 小林 多喜二 一九二八年三月十五日

    一 お恵には、それはそう仲々慣れきることの出来ない事だった。何度も——何度やってきても、お恵は初めてのように驚かされたし、ビクビクしたし、周章(あわ)てた。そして、又その度(たび)に夫の竜吉に云われもした。然し女には、それはどうしても強過ぎる打撃だった。 ――組合の人達が集って、議題

  • 小説 小林 多喜二 級長の願い

    先生。 私は今日から休ませてもらいます。みんながイジめるし、馬鹿にするし、じゅ業料もおさめられないし、それに前から出すことにしてあった戦争のお金も出せないからです。先生も知っているように、私は誰よりもウンと勉強して偉くなりたいと思っていましたが、吉本さんや平賀さんまで、戦争のお金も出さないようなものはモウ友だちにはしてやらないと云うんです。――吉本さんや平賀さんまで遊んでくれなかったら、学校はじごくみたいなものです。 先生。私はどんなに戦争のお金を出

  • 小林 尹夫 方舟の光景(抄)

    目次 虫 あらいぐま たまご ある母と子 笑い 便り 読経 <div class="poetry"

  • 評論・研究 庄司 肇 純文学と文芸誌

    坂本忠雄 様 「文芸誌とは何か、何だったのか」のコピーをいただき、拝見しました。その感想を手紙のお返事として書くよりも、評論風に別仕立てにしたほうが、自分の言いたいことがはっきりすると思われましたので、次のようなものを書いてみました。ご笑覧下さい。 『文芸誌とは何か、何だったのか』を一気に読了する。聞き手の斎藤美奈子さんの質問の仕方が悪い、というほどではないのかも知れないが、腰が座っていないような感じがする

  • 評論・研究 昭和天皇 敗戦翌年元旦の詔書<1946年>

    一、広ク会議ヲ興シ万機公論ニ決スベシ 一、上下心ヲ一ニシテ盛ニ経綸(けいりん)ヲ行フベシ 一、官武一途庶民ニ至ルマデ各(おのおの)其(その)志ヲ遂ゲ人心ヲシテ倦(う)</ru

  • 評論・研究 昭和天皇 明治天皇と昭和天皇

    一、広ク会議ヲ興シ万機公論ニ決スベシ 一、上下心ヲ一ニシテ盛ニ経綸(けいりん)ヲ行フベシ 一、官武一途庶民ニ至ルマデ各(おのおの)

  • 随筆・エッセイ 松 たか子 松のひとりごと

    目次鏡越しの顔勝利の人街と人と劇場マスクの心心のやりとり苦行と歓び『嵐が丘』の幕開け写ったものに映るもの</l

  • 評論・研究 松浦 喜一 日本国憲法を護る ――生き残った特攻隊員、八十一歳の遺書

    主権在民の平和憲法 今や戦後六十年、日本は戦前とは全く違った姿になってしまい、戦前のことを想像できない人が多くなりました。戦争前から生き、戦争を体験した者にとっては、戦争は遥か六十年前の歴史の一コマとも思えるし、身近な昨日の出来事とも思えるのです。 飛行服姿の私は飛行場の愛機の側で、これから搭乗する映画の一コマが眼に映るような気がいたします。共に話をしていた友はいない。これが現実の私なのです。 <

  • 小説 松永 延造 ラ氏の笛

    一 横浜外人居留地の近くに生れ、又、其処で成育した事が何よりの理由となつて、私は支那人、印度人、時には埃及(エジプト)人などとさヘ、深い友誼を取り交した経験を持つてゐる。そして彼れ等の一人一人が私に示した幾つかの逸事は、何れも温い記憶となつて、今尚ほ私の胸底に生き残り、為す事もない病臥の身(それが現在に於ける私の運命)ヘ向つて、限りない慰めの源を提供するのである。 時は大正×年、秋の初め、場所はB全科病

  • 松岡 荒村 三つの声

    一 虚栄の声 飲めや友歌へ手嫋(たおやめ) 歓楽の数をつくして 山海の珍味を尽さん 夜も昼もわれら飽くまで 善も来よ悪も群れ 浮世をば只我まゝに 我まゝに大手ふりつゝ 渡りゆく身こそ大(えら<rp

  • 短歌 松坂 弘 言葉の自画像

    暗澹と菜の花の黄に降りそそぎ音なき昼の時はすぎゆく 『輝く時は』 干網は白く芝生にうたれつつ輝く時のいまは過ぎゆく 心いまとがり秋陽のひびわれの草薙ぐ風に刀(たち)となりゆく 手を下げている明るさのひろびろとがんじがらめの白鳥の羽 青春はなおそれぞれに痛ましくいま抱きおこす一束の薔薇 暖かく日は照りながらかたわら

  • 評論・研究 松村 辨治郎 国会開設の儀

    布衣(ふい)(官位のない私民)松村辨治郎、謹(つつしみ)テ大日本帝国廟堂(べうだう)ノ有司諸彦閣下(いうし・しよげん・かつか)ニ白(まう</rt

  • 小説 松代 達生 五月の朝

    清(きよ)はこの二、三日、軽い腹痛を訴えていた。深夜うなされたように、痛い痛い、と声を出し、一郎は起きて背中をさすってやった。風が窓を叩く音や、国道を通り過ぎる長距離トラックの音までが、一郎には清の声に聞え、夜中に蒲団を蹴って跳び起きたりした。 その朝も、自分の名前を呼ばれたような気がして目を覚ますと、隣に寝ているはずの清の姿が無かった。枕許の時計を瞥(み)ると六時半だった。

  • 小説 松代 達生 子殺し

    1 アキラ、お父さんはとうとうお前を殺してしまった。 繭の糸のような春の雨が降りてくる。音も無く夜の高みから、光る雨たちが降りてくる。雨は地面に達する前に輝きを失い、土気色になり、大地と同化して死んでゆく。漆黒の闇の中へ、吹き飛ばされるように姿を消すのもある。お父さんの網膜に映る雨は、音も色も形も無い滅びの化身だ。窓を開けると、吹きつのる夜風の中で、光る雨たちが発する啜り泣きの声が聞える。老婆が欠けた歯の間から洩らす呻き声そのままに、風は苦痛の音立てて、隙間から部屋の中へ忍び込もうとする。 お前

  • 戯曲 松田 章一 花石榴

    《登場人物》 桜井金蔵 六十歳ぐらい 山田豊子 五十七歳ぐらい 女事務員 (声だけ) ある小さな土建会社の応接室。使い古された応接セットが中央にある。壁面には、下手な政治家の書の横額があったり、複製の風景画、小判を飾った祝儀ものの額が雑然と掛けてある。 スチールの棚などがあり、ガラ

  • 評論・研究 松田 存 能の笛方鹿島清兵衛をめぐる人々―名妓ぽん太と近代文学者の接点―名

    はじめに 先年、日本医大図書館に勤務する細井昌文氏から能楽の笛方鹿島清兵衛について調べてみてはという手紙をいただいた。医療文献とりわけX線に関する記事にしばしば出てくるというのだ。同氏は図書館勤務の傍ら、下掛宝生流(ヮキ方)のいわば玄人でもあるわけだが、もちろん筆者とて鹿島清兵衛なる笛方の多くを知らない。いらい鹿島清兵衛について調べて行くうち、究極は、わが師飯塚友一郎博士にまで辿りつき、遠くなり行く明治の文学者をはじめ、そのモデルとなった人々の生きざまを追ったのが本稿である。

  • ノンフィクション 松田 東 海洋少年団の秘宝

    (一) 珍しく空襲警報が鳴らない夕方、庭先の小さな池の周囲に、行儀よく植えられた菖蒲の花が咲き、戦時中とは思えぬ静けさだ。 昭和二十年の六月、正義は、十二歳の夏休みを迎えようとしていた。小学校最後の一ヶ月に亘る休みをどう過すか、頭の中はあれこれと思いをめぐらす楽しさで一杯である。 父親は火薬工場に通う会社員、母親は市役所の職員、そして祖父母が半農半漁という家に育っている。正義はなんの不自由もなく、自由闊達な少年だ。そんな正義の不満といえば、人が恨むサラリーマン家庭である事だ。 正義

  • 俳句 松本 たかし 能役者

    秋扇や生れながらに能役者 踊見る踊疲れを憩ひつつ 夜学児の暗き項(うなじ)のくぼみかな 時雨傘開きたしかめ貸しにけり 忽然(こつねん)と凧が下りきし軒の空 十棹とはあらぬ渡しや水の秋 <p

  • 随筆・エッセイ 松本 幸四郎 役者幸四郎の俳遊俳談

    目次歌舞伎役者と俳句初めての句Haikuhas everything「アマデウス」のこと玉堂先生と祖父修善寺新井旅館のこと虚子先生のこと</a