検索結果 全1029作品 公開年逆順 公開年順 作家名逆順 作家名順 作品名逆順 作品名順

  • 浅井 十三郎 越後山脈(抄)

    《目次》 吹雪の中にうたふ生命贐(はなむけ)風の中の風にうたふ風の風景越後山脈愛情の書 <

  • 随筆・エッセイ 浅田 康夫 横浜市会の新選組生き残り

    風雲急を告げる幕末のころ、天然理心流の剣豪、近藤勇が率いる「新選組」が会津京都守護職の信任も厚く「誠」の旗風堂々と一剣をもって王城の治安を守り、特に池田屋事変で勇名をとどろかせた話は良く知られよう。 翻って一世紀後のこんにちに至り、横浜政界の草分け「川村三郎」が元新選組伍長「近藤芳助」の変身とわかった。 「この話題の主こそ、あなたのおじいさんですよ」 作家の釣洋一氏から突然そう名指しされたのが、筆者の義母中田芳江であった。 事実は小説より奇なりという。 新選組研究者は偽名説をたてるが、近藤は養家、川

  • 小説 浅田 次郎 月島慕情

    親から貰ったミノという名は、好きではなかった。 明治二十六年の巳年の生れだからミノと名付けられた。ふるさとの村には同い年のミノが何人もいたが、一回り上にも大勢いたはずの同じ名前の娘たちは、ミノが物心ついたときにはみな姿を消していた。ひとつ年上のタツも、ふたつ年上のウノの場合もそれは同様だから、世代を超えた同じ名の娘はいなかった。 雪がとけるころ何人もの人買いがやってきて、小学校をおえた娘たちを連れてゆくのだった。 行先のほとんどは上州か諏訪の製糸工場だったが、とりわけ器量の良い娘は東京へと買われた。そういう娘は値がちがうから、果報だ

  • 小説 浅田 次郎 スターダスト・レヴュー

    その日の演目はウェーバーの序曲とシューベルトの弦楽四重奏、二十分の休憩をはさんでメンデルスゾーンの交響曲という内容だった。 オーケストラを聴くのは何年ぶりだろうと、飯村圭二(いいむらけいじ)は休憩時間のロビーでワインを飲みながら考えた。 土曜日の午後たまたま通りすがったホールの玄関に「小谷直樹(こたになおき)凱旋記念コンサート」の看板を見つけ、矢も楯もたまら

  • 船木 倶子 あなたとおなじ風に吹かれた

    夏 夜 夕涼みに と わたしたちは夜を歩いた 淡い満月が出ていた 道の端には待宵草が あのひとが手折ってくれたとき あ この甘さだわ 昏れていく山道に黄いろい灯りを 競って咲いた 行く手を照らした あのころ なにもかもがはじまりだった 歳月さえも 花ははんなりと小ぶりで 月とまるで

  • 短歌 前田 夕暮 夕暮秀歌百首

    秋の夜の沈黙(しゞま)ふるはす鐘のおとにふと誦(ず)し得たり人のよのうた 菜の花の相模の国に鐘のなるあしたを夢はゆきてかへりぬ 草山をすべりて雲の真白きが汝(な)を奪(と<

  • 短歌 前田 夕暮 収穫

    自序 我が第一歌集を「収穫」と名づく。 一体去年の秋出すつもりで、略(ほぼ)原稿を纏めた時、いろいろ名づくべき標題を考へた末、「歌はわが若き日の収穫なり」といふことに思ひ及び、そのまゝ収穫を標題とすることにした。それから四五日して島崎藤村氏の処に行くと、氏も短篇集の名を収穫としようと思つてゐたといふ話があつた。私はその話をきいて悪いことをしたやうな気がした。そこで早速私の歌集の名は<r

  • 小説 前田河 廣一郎 三等船客

    一 「あれ、擽(くすぐ)つたい。」 はねのけるように癇高(かんだか)な、鼻のひくい、中年期の女のみが発し得る声が、総体にゆらゆらと傾いた船室の一隅からひびいた。女の姿は何かの蔭になつて見えなかつたが、男は前のめりに動いた姿だけ、汚

  • 随筆・エッセイ 前島 密 漢字御廃止之議

    国家の大本は国民の教育にして其教育は士民を論せす国民に普(ひろ)からしめ之を普からしめんには成る可く簡易なる文字文章を用ひさる可らす 其深遠高尚なる百科の学に於けるも文字を知り得て後に其事を知る如き艱渋(かんじふ)迂遠(うゑん)なる教授法を取らす渾(

  • 小説 素木 しづ子 松葉杖をつく女

    現ともなく、圧しつけられる様な息苦しさ。カバーを掛けた電気の光が、黄色い靄の様に漲(みなぎ)つて、毛布の上に重くかさなり合つて居るのを、水枝は細目に見やつて、やがてふいと勇者の様に起き上つて、強ひて瞳を大きく見張つた。シーンと頭が重く沈まり返つて、すべての感覚を失なつた様な自分の肉体がすべて空気の中に溶けあつて、わけが解らなくなつた様に思はれた。が水枝自身は強ひてさう云ふ風に茫然(ぼんやり<

  • 随筆・エッセイ 倉橋 羊村 八一と白鳥 ─魅力ある文人たち(抄)

    山鳩 ――会津八一と紀伊子―― 山鳩の声で、目がさめる。いつものことだが、夢の中にまで谺(こだま)する声だった。 快い目ざめではない。からだの調子も、心も、安らかでいられることは、これからさき、もうあるまいと思う。少しずつ、毎日悪くなってくるのがわかる。 「すみませんね、いつも申しわけなくて」 紀伊子は、会津八

  • 俳句 倉橋 羊村 有時(うじ)

    ぶつかりもせず綿虫の盲飛び (平成十年) 冬霧につぎつぎ裸灯となれり 脚長き椅子が軋みて夜泣蕎麦 地平枯れ第九聴かむと集ふなり 雪景色よき隔たりの橋二つ 風収まれり枯蓮の折られ損 満身で悔い若鮎の釣られたる 引鶴の一羽遅れしあかね空 午後居らず朧の

  • 倉持 三郎 考えるジャガイモ

    目次 部屋 はえ 鎖の幸福 あいくち 木 木のぼり 青春 ほこり <a href="#P9

  • 小説 倉持 正夫 塔のある町で

    シエナからその町まで、長距離バスでどのくらいかかるのだろう。 どのくらいかかるのか、私にはわからない。 とにかく、その町には塔が十三基ほど聳え立っていて、それこそ、町そのものが中世そのまま、住む人たちも数百人を数えるくらいで、ひっそりと山の上に暮らしているのだと云う。 そんな町が、はたしてあるのか。

  • 小説 早乙女 貢 叛臣伝

    一 登世(とよ)が二度目に倒れたのは、夷舞(えびすまい)が笑いをふりまいて去った後だった。 七草明けまで降った雪が、根雪となって塀裾や庭樹の陰にしがみついていた。晴れた日だったが、妙に底冷えのする朝で、登世は頭痛を腰元に洩らしている。普段だったら医者を呼んだかもしれない。三隈城山下の稲田屋敷から五丁ほどの距離で傍町に広沢久庵がい

  • 小説 早乙女 貢 からす組(抄)

    目次 衝撃隊誕生 女郎屋本陣 血風化地蔵 細谷烏 衝撃隊誕生 "薩長を斬れ!!" 世良修蔵誅戮(ちゅうりく)</rp

  • 小説 相馬 泰三 六月

    まあ、なんと云つたらいゝだらう、――自分の身体がなんの事もなくついばらばらに壊れてゆくやうな気持であつた。身を縮めて、一生懸命に抱きしめてゐても、いつか自分の力の方が敗けてゆくやうな――目が覚めた時、彼は自分が夥しい悪寒(をかん)に襲はれてがたがた慄へてゐるのを知つた。なんだかそこいらが湿つぽく濡れてゐる。からだの何所かが麻痺(しび)れて知覚がない。白い、濃淡のない、おつぴろ

  • 草野 天平 ひとつの道(抄)

    目次 岡の上で レオナルドの最後の晩餐 秋 妻の柩 妻の死 三番叟の舞 父母の前へ 梅雨</l

  • 小説 増永 直子 駒鳥の血

    1 突然、目のまえに小さな村が現われた。妙にしんとしている。人の住む気配がしない。光線があらゆる音を吸いとったかのように、村全体が息を潜めて、人目を避けている感じがする。 なぜ、こんなところに迷いこんだのだろう。内海浩子は車から細い通りにとびだすと、怪訝な面持ちで周囲を見まわした。あと十七、八キロで目的地のバースに着くはずだったのが、まるでだれかに誘いこまれるふうに、奇妙な村に入りこんでしまった。 通りの左

  • 川柳 速川 美竹 微苦笑

    基地の中から歯をむいた赤ずきん 君が代の他は聞こえてこぬ音痴 おかしいぞ女房明日から家にいる シュレッダーに首を差し出す民主主義 三党が同居危ない雑居ビル ふところは無限テレサの長い道 永田町迷彩服がよく似合う コンドーム持参で歌う海征かば プリクラでヌードを写す人はない <