検索結果 全1047作品 公開年逆順 公開年順 作家名逆順 作家名順 作品名逆順 作品名順

  • 船木 倶子 哀しみなどというものは 初出年: 2010年

    哀しみはないのだ 哀しみなどというものは いま 終の間際にあろうとも すっかりの骸に もう野晒しが似あうとしても そのときそれまでの生が はたして生などあったのか もはや憶い出せなどしなくとも &nbsp; そうでなければあのように 吹いてはゆけない 風はすぎる 立ちどまる哀しみなどなくあのように 風はすぎる &nbsp;</p

  • 評論・研究 大原 雄 全身芸術家・高村光太郎の実像 初出年: 2010年

    今回の講演では、「全身芸術家・高村光太郎の実像」という演題で、お話をしたいと思っていますが、私は、ジャーナリストとして活動しているので、詩人でも、研究者でもない。ひとりの市井の読者として対応しているから、高村光太郎について、例えば、詩人として詩作体験を踏まえて何かを語る訳でも、評論家や研究者として、人物論を語る訳でもないということを予めご承知置き願いたい。私の話のポイントは、全身芸術家という聞き慣れないことばにあると思っていますので、このキーワードが、でてきたところは、注意して聞いて下さるとありがたいです。 &nbsp; <

  • 堀内 みちこ 世界でたった一羽の青い大きな鳥 初出年: 2010年

    空が青い大きな鳥でなくて良かった 碧い大きな鳥だとしたら 飛び去っている こんなに汚れた地球を捨てて &nbsp; キッチンで食器を洗う 良い香りの洗剤で 輝く白い皿 グラス 銀色のスプーン 汚れよさようなら 美しい食器たちでワタシは満足 &nbsp; 皿からグラスからスプーンから離れた汚れたちは 水と旅をしている <

  • 高崎 乃理子 時の声が聞こえてくる(抄) 初出年: 2010年

    たんぽぽよ たんぽぽの花が 野原を うめつくす 線路は春にうもれて この風景を 越え あの日に つながっていく たんぽぽよ もう帰れない あの春の日にも 咲いていたね はじめてのわかれ 指切りをした ふたりの足もとで 咲いていたね

  • 福地 順一 津軽・抄 初出年: 2010年

    鬼灯(ホズギ) 倉の白壁(スロカベ)サ 秋陽(シ)コ照(アダ)てだ 軒下

  • 随筆・エッセイ 碓井美樹 BASIC & FUN 初出年: 2010年

    キッチングッズ、器から、文房具、バック、コスメまで MIKI USUIの雑貨ライフ はじめに 職業柄、モノはたくさん持っているほうだと思います。買い集めているというよりは、モノとの出会いが多いので、結局、手に入れる機会が多くなるのでしょう。この本を執筆するにあたって、何をとりあげようかとかなり迷いました。2008年6月末から、ここサンフランシスコで暮らしているのですが、東京の家に残してき

  • 秋田 高敏 紺青色の便箋紙 初出年: 2010年

    珊瑚礁の海から便りが届いた 自由奔放な雲に託されて &nbsp; あれからあの島も 人間が住めなくなりました 椰子茂る孤島になりました もう 爆弾も落ちて来ませんが 敵味方の屍が寄り添いながら 静かに眠っています 波が一日中子守歌を歌っています &nbsp; 戦争は もう起きないでしょうね 近

  • 網谷 厚子 アンモナイトの夢 初出年: 2010年

    人工衛星の破片が 降りしきる 生まれたままのすがたで あたしたちは 濡れて歩いた ここちよい冷気が やわらかに吹きつける ときに からみあい せめぎあって すくい上げる仕草で 果てると きらきらした舗装道路は 腔腸動物となって ぬめぬめと切なく波うつ 散るのは 花ばかりではない 衛星も あたしたちも 同じ

  • 青柳 暁美 誰のもの 初出年: 2010年

    地球はただ1つ 太陽が悲しみ 月が悲しみ 地球が悲しむ 五つの大陸は 誰のもの 人類は地球にいる 大陸の気候風土にあった 海や花や鳥 草や木 山や川 けだものや魚が住み 風の吹くままに地球が動く 人類にたえまなく生命の源を応援しながら なのに地球が病気 だから人類も病気 地球の全部をひとりじめにしないで 分けあえば 太陽が笑い 月が笑い

  • 有馬 敲 広島のクスノキ 初出年: 2010年

    目立たない一本のクスノキになって ぼくは平和記念公園の片隅に立っている ケータイを耳にあてて話す娘 デジカメをビルの残骸にむけて構える若い男 キャリーバックを引きずっていく老夫婦 その他大勢の見物客の雑音のうしろで ぼくは静かに呼吸している &nbsp; みじめに戦争に敗れたとき ぼくははじめて元安川の右岸に立った 放射能は草も木も生やさないのか 満干する潮の流れを見つめ </p

  • 朝倉 勇 木はさよならを 初出年: 2010年

    木は さよならをいわない くりかえしを生と知るこんにちはだけを 不動のままで季節ごとに示してきた 鳥は 切ないほどに木の気持がわかって そこに自分の命を賭けようと思うのだ &nbsp; 木が冬の風のなかで 一本一本のほそい枝先までさらすとき 鳥は自分がつくった巣の造形までも すっかり見られてしまうことに羞恥をおぼえる あれでよかったのだろうか (見られてしまう日のあることなど考え

  • 安宅 夏夫 漁夫とその家族 初出年: 2010年

    シャバンヌ『貧しき漁夫』に &nbsp; 夕暮 私たちは道に迷ってしまった 泣いている幼い兄妹のように 海と湖の間にある砂丘の中で。 砂丘を覆う防砂林は奥深く拡がっているので 海鳴りはあちらからもこちらからも 聞こえてくるように思われた &nbsp; 私たちがここに来るとき 通り過ぎた湖水の岸辺に 四つ手網をあやつって わずかな小魚を獲っている た

  • 原田 道子 愛シテイル 初出年: 2010年

    触れあおうとする指先があつくなろうとしている いるはずだが このところずっと手をつないでいないからね &nbsp; だから だからなかなかうまく笑えない とてもとおおぅい とおおうすぎる「太陽」と「月」は &nbsp; 億年の未来から眼をさらのようにしているはずなのに 喃語は なおのこと奪っていないはずなのに &nbsp; ふかふかのまみど

  • 日原 正彦 木の人 初出年: 2010年

    心のやさしい人は 木から生まれたのである &nbsp; おはよう と言って彼が去ったあと 両耳のまわりで 何だか さえずりみたいなものがくすぐったりする &nbsp; 彼が立っているのを遠くから見ていると 空ってこんなに満ちあふれているのかと思ったりする もっと立っていると 雲のひそひそ話が聞こえたりすることもあるけれど <p class="sepa

  • 平野 秀哉 水について 初出年: 2010年

    器から零れた 水は 初めて自由―を知った そして 自分には形姿のないことも識った 透明なおのれが何故か悲しかった &nbsp; 水が湧く 水は繋ぐ 水は流れる こんこんと さらさらと とうとうと 苗を育て魚たちをはぐくみ大地を潤おした 水は得意になって歌った &nbsp; 某月某日 雨が降った 雨は降り続いた 岩に沁み込んだ 土

  • 広瀬 大志 鳥光 初出年: 2010年

    驚くべき変化など 何ひとつもなく 何ひとつも求められない &nbsp; 鳥の群れがつくる わずかな影の移動が すばやく視界をよぎるとき 一日の長さと 短さを 交互に気づかせる瞬時の光が 感覚の畝を繋ぐことで 私には外側がある &nbsp; 遠い稜線から いっせいに湧きあがる雲がある <p

  • 比留間 美代子 野ばらの私語(ささやき) 初出年: 2010年

    露に濡れた純白の花房が 思いをひそめて語りつぐ &nbsp; 今 浦和の地に生い茂っているけれど 小鳥が種を落としたのは多摩川の上流 平井川のほとり そこで清流の囁きを聞いて成長したと &nbsp; 野ばらは その川辺から人の手を経て 武蔵小金井の地に運ばれて幾十年 ベランダの上を覆い見事なアーチ型に 育って 甘味な香りを放って

  • 堀場 清子 花の季節 初出年: 2010年

    だれが書いたのか 「安らかに眠って下さい」などと &nbsp; どうしてねむれよう 剥げおちた皮膚の痛みも去らないのに &nbsp; 命が内から崩れてくる 苦悶がいまも 火となって駆けるのに &nbsp; また夏がきて 夾竹桃が 咲く &nbsp;<

  • 星 雅彦 集団自決 初出年: 2010年

    あのとき私たちの島は── 米軍艦船に包囲され 逃げ場は閉ざされ 激しい攻撃 地響き すべて焼きつくし 私はお国のために死ぬことを考えた・・・・ うまいものを食べて 晴着に着替えて 家族 親族 みんな車座になって話合い 手榴弾の安全弁を引き抜き 石に叩きつ けて 爆発 轟音と共に 人々の五体は ちりぢりばらばらに 肉片が飛び散って 木の枝にもぶらさがる 死者たちは神々 しく 死にきれなかった運の悪い私たち 泣き叫び

  • 後山 光行 ハクセキレイとともに 初出年: 2009年

    田舎道を歩いていると 小鳥が溝からあがって来て 尾を振りながら小走りに道を横切る ハクセキレイだと思うが まだ日本も捨てたものではないと ちいさな風景を見つめる &nbsp; 働いて働いて毎日疲れていた頃 直線で冷たい人工構造物のなかで 体温の冷めていくのを感じる日々があった &nbsp; わずかな記憶を思い浮かべると フロリダ