検索結果 全1000作品 公開年逆順 公開年順 作家名逆順 作家名順 作品名逆順 作品名順

  • 大関 松三郎 詩集『山芋』抄 初出年: 1951年

    &nbsp; 目 次 山 芋 畑うち 虫けら 雑 草 虫けら &nbsp; &nbsp; 山 芋 &nbsp; しんくしてほった土の底から 大きな山芋(やまいも<r

  • 評論・研究 佐々木 八郎 〝愛〟と〝戦〟と〝死〟 初出年: 1949年

    ――宮沢(みやざわ)賢治(けんじ)作『烏(からす)の北斗七星』に関連して―― * * 学徒出陣に際して一九四三年十一月十日、第一高等学校文二のクラス会が開かれた。佐々木八郎は、席上このエッセイを朗読した。宮沢賢治諭に託して

  • 小説 太宰 治 待つ 初出年: 1942年

    省線のその小さい駅に、私は毎日、人をお迎へにまゐります。誰とも、わからぬ人を迎へに。 市場で買ひ物をして、その帰りには、かならず駅に立ち寄つて駅の冷いベンチに腰をおろし、買ひ物籠を膝に乗せ、ぼんやり改札口を見てゐるのです。上り下りの電車がホームに到着する毎に、たくさんの人が電車の戸口から吐き出され、どやどや改札口にやつて来て、一様に怒つてゐるやうな顔をして、パスを出したり、切符を手渡したり、それから、そそくさと脇目も振らず歩いて、私の坐つてゐるベンチの前を通り駅前の広場に出て、さうして思ひ思ひの方向に散つて行く。私は、ぼんやり坐つてゐます。誰か、ひとり、笑つて私に声を

  • 小説 芹澤 光治良 大鷲 初出年: 1936年

    一 ――社長、村井代議士からお電話でした、なんですか、是非お会ひしたいつて申しまして、中の三百三番にお電話をいただきたいと。 ――社長、東京へ行かれるさうですな、お立ち前に決裁していただきませんと。 ――社長、中央バスの重役会が来週の火曜日と言ふ通知がありました、自社(うち)のも月曜日になつて居りますし、中

  • 左川 ちか 左川ちか詩集(抄) 初出年: 1936年

    鐘のなる日 終日 ふみにじられる落葉のうめくのをきく 人生の午後がさうである如く すでに消え去つた時刻を告げる かねの音が ひときれひときれと 樹木の身をけづりとるときのやうに そしてそこにはもはや時は無いのだから 憑かれた街 思ひ出の壯大な建物を あらゆる他のほろびたものの上に 喚び起こし、待ちまうけ、希望するために。

  • 野口 雨情 『草の花』抄 初出年: 1936年

    広小路 ゆき来も繁き 広小路 柳の蔭の 夕燕 &nbsp; しとしと雨の 降る中を 飛んでまた来て また返り &nbsp; 泊る軒端も ないのやら ゆき来の人の 顔を見る &nbsp; 行々子

  • 小説 萩原 朔太郎 日清戦争異聞(原田重吉の夢) 初出年: 1935年

    上 日清(にっしん)戦争が始まった。「支那も昔は聖賢の教ありつる国」で、孔孟(こうもう)の生れた中華であったが、今は暴逆無道の野蛮国であるから、よろしく膺懲(ようちょう)すべしという歌が流行(はや)</r

  • 小説 菊池 寛 勝負事 初出年: 1929年

    勝負事(しようぶごと)と云ふことが、話題になつた時に、私の友達の一人が、次ぎのやうな話をしました。 「私は子供の時から、勝負事と云ふと、どんな些細な事でも、厳しく戒しめられて来ました。幼年時代には、誰でも一度は、弄(もてあそ)ぶに定(き)まって居<rp

  • 小説 中島 敦 巡査の居る風景 初出年: 1929年

    ――一九二三年の一つのスケッチ―― &nbsp; 一 甃石(しきいし)には凍つた猫の死骸が牡蠣((かき))の樣にへばりついた。其の上を赤い甘栗屋の廣告が風に千切(ちぎ)れて狂ひながら

  • 小説 渡辺 温 アンドロギュノスの(ちすじ) 初出年: 1929年

    ——曾て、哲人アビュレの故郷なるマドーラの町に、一人の魔法をよく使う女が住んでいた。彼女は自分が男に想いを懸けた時には、その男の髪の毛を或る草と一緒に、何か呪文を唱えながら、三脚台の上で焼くことに依って、どんな男をでも、自分の寝床に誘い込むことが出来た。ところが、或る日のこと、彼女は一人の若者を見初めたので、その魔法を用いたのだが、下婢に欺かれて、若者の髪の毛のつもりで、実は居酒屋の店先にあった羊皮の革袋から毮り取った毛を燃してしまった。すると、夜半に及んで、酒の溢れている革袋が街を横切って、魔女の家の扉口迄飛んで来たと云うことである。 頃日読みさしのアナトール・フラ

  • 小説 梶井 基次郎 桜の樹の下には 初出年: 1928年

    桜の樹の下には屍体が埋まつている! これは信じていいことなんだよ。何故つて、桜の花があんなにも見事に咲くなんて信じられないことぢやないか。俺はあの美しさが信じられないので、この二三日不安だつた。しかしいま、やつとわかるときが来た。桜の樹の下には屍体が埋まつている。これは信じていいことだ。 どうして俺が毎晩家へ帰つて来る道で、俺の部屋の数ある道具のうちの、選(よ)りに選つてちつぽけな薄つぺらいもの、安全剃刀<

  • 小説 黒島 傳治 二銭銅貨 初出年: 1926年

    一 &nbsp; 独楽(こま)が流行(はや)っている時分だった。弟の藤二がどこからか健吉が使い古した古独楽を探し出して来て、左右の掌(てのひら)の間に三寸釘の頭をひしゃいで通した心棒を挾んでまわした。まだ、手に力がな

  • 小説 芥川 龍之介 桃太郎 初出年: 1924年

    一 むかし、むかし、大むかし、或深い山の奥に大きい桃の木が一本あつた。大きいとだけではいひ足りないかも知れない。この桃の枝は雲の上にひろがり、この桃の根は大地の底の黄泉の国にさへ及んでゐた。何でも天地開闢(てんちかいびやく)の頃ほひ、伊弉諾(いざなぎ)の尊(みこと)</ru

  • 小説 宮沢 賢治 烏の北斗七星 初出年: 1924年

    つめたいいぢの悪い雲が、地べたにすれすれに垂れましたので、野はらは雪のあかりだか、日のあかりだか判らないやうになりました。 烏の義勇艦隊は、その雲に圧(お)しつけられて、しかたなくちよつとの間、亜鉛(とたん)の板をひろげたやうな雪の田圃(たんぼ)のぅへに横にならんで<

  • 小説 小川 未明 野ばら 初出年: 1922年

    大きな國と、それよりすこし小さな國とがとなりあつていました。當座(とうざ)、その二つの國のあいだには、なにごともおこらず平和でありました。 ここは都(みやこ)から遠い、國境(こつきよう)であります。そこには兩方の國から、ただひとりずつの兵隊(

  • 小説 吉田 絃二郎 淸作の妻 初出年: 1918年

    猫の子一疋死んでも噂の種になるN村では、新田(しんでん)の淸作とお兼とが夫婦になつたといふことは、野良(のら)でも、爐(ゐろり)の傍でも、舟着き場でも人々の口の端(は)に上つた。若い娘たちは村一番の若

  • 福田 正夫 農民の言葉 初出年: 1916年

    目次 序 Ⅰ 四十男の縊死 しちめん様のまつり 加瀬の山から 低能児 御会式のだいもく 四十男の縊死 Ⅱ 農村より 村祭の酒宴から 偉大なる農民 農村より 仮装行列 霧の朝 畦路から 姉さんの死 恐しいそして無智な女 Ⅲ 農民の言葉

  • 随筆・エッセイ 辻村 伊助 スウィス日記(抄) 初出年: 1915年

    序 忘却は人間の有する最大の幸福である。私達の目まぐるしい生活が、あらゆる感情の綯い交じったその日その日が、有りの儘に私達の在る限り、胸の中にたたまれてあるとしたら、それを負うて歩まねばならぬ人の運命はいかに悲惨なものだろうか。 雑然たる生活の断片を紙に残すのは、この意味に於て明らかに矛盾である。しかもそれを敢えてするのは私の過去に於てアルプスの雪の間に送った月日が、そのいずれの瞬間を思い出しても何の悔ゆることのない、白日に露すとも何等不安を感じない生活であったのを確かめているからである。 山に対する時私は云い知

  • 小説 森 鷗外 鼠坂 初出年: 1912年

    小日向(こびなた)から音羽(おとは)へ降(お)りる鼠坂(ねずみざか)と云(い)ふ坂

  • 小説 谷崎 潤一郎 刺青(しせい) 初出年: 1910年

    其れはまだ人々が「愚(おろか)」と云ふ貴い德を持つて居て、世の中が今のやうに激しく軋(きし)み合はない時分であつた。殿樣や若旦那の長閑(のどか)な顏が曇らぬやうに、御殿女中や華魁(おいらん)の笑ひの種が