「個人情報保護法案」の与党修正案に、問題有り。
新聞報道などのとおり、個人情報保護法案についての与党修正案が過日提示されました。
基本原則の削除や行政機関の法案への罰則導入など、一定の改善が見られるのは確かですが、抜本見直しには程遠く、到底受け入れられる代物ではありません。
個人情報のあるべき保護法制は、行政機関への厳格な規制と、民間については重要緊急な特定領域への個別法規制、それ以外の分野での自主規制の強化です。
今回の修正案は、行政機関のについては一定の罰則導入だけで、適正取得の規制やセンシティブ情報の収集制限、目的外利用禁止の徹底、本人情報開示の大幅な例外など、厳格な規制と市民の自己情報コントロール強化の課題は、ほとんど実現されていませんので、これでは、とても話になりません。
民間対象の個人情報保護法案についても、基本原則の削除の代わりに基本理念の規定を入れると説明されているようですし、義務規定を民間に広く法の網をかける方式はそのままで、通信、信用、医療など特定領域に限定して適用するポジティブリスト方式は採用されておらず、大臣ではなく独立機関が行政規制に当たる仕組みにもなっていません。
最低でも、基本原則も含め理念的規定の一切の除去と、限定的なポジティブリスト方式とは「譲るべきではない」と思いますし、国際標準である独立機関による規制も、できるだけ主張しつづけるべきだと考えます。
以上、今回の修正案はとても抜本修正とは言い難く、安易にこれを受け入れてはならない、というのが私の結論です。これについては、もとより異論もあるでしょうし、もう少し丁寧な議論が求められるのは確かですから、いずれにしても率直な意見交換の「場」をいろいろな形で設け、今後の的確な対応のあり方を探っていく必要があると思います。
この点も含め、多くの皆さんの意見をお聞かせいただければ幸いです。
日本ペンクラブ 電子文藝館編輯室
This page was created on 2002/12/19
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