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失業者の自殺

鬼こそ()へめ、人なるを

長き苦しき労働(はたらき)

身は青草の細くのみ

一たび肺を病みしより

血を()()はる杜鵑(ほととぎす)

彼方此方(かなたこなた)とさまよひて

今はすみかもあら悲し

血に啼き狂ふばかりなり。

 

両国橋の欄干(らんかん)

流るゝ水をながめしが

夜の鴎の(とも)となり

哀れや水に沈みけり

越中島の蘆の()

死骸(むくろ)は浮きぬ、そのあした

嗟呼(ああ) (いた)はしや聞くさへに

これぞ働く人の(はて)

日本ペンクラブ 電子文藝館編輯室
This page was created on 2002/09/30

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児玉 花外

コダマ カガイ
こだま かがい 詩人 1874(明治7)年~1943(昭和18)年 京都府に生まれる。同志社に学びキリスト教的社会正義にめざめて弱者に目を向け、1903(明治36)年、刊行直前に押収された『社会主義詩集』は我が国初の発禁詩集となった。

掲載作は我が国初の発禁詩集の一編。

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