「元凶」を見つめよう
3月20日、日比谷の「ワールド・ピース・ナウ」に行きました。
ピース・パレードに参加するのは、半年、いや10か月ぶりですが。何しろ5月になると76才ともなると、いくら気持だけは若くても脚が弱ってもうデモは無理です。ふと昔知った「傘がない」という井上陽水の歌も思い出したが、幸い傘はあるので、季節の変わり目か左足が少しうずくのを我慢しながら、地下鉄に乗り、参加しました。
雨の中とはいえ、大変な参加者の数で熱気に溢れていました。野外音楽堂に入る前に親しい人々の顔を見て、来て良かったと思いました。雨のせいか、音楽堂は座っている人が少なく、割に簡単に舞台の近くに行くことができました。
中に入った途端、沖縄からの力強い連帯のメッセージが披露され、喜納さんのトークとライブが始まっていました。喜納さんの「われわれは新しい文化を生み出していこう」は正に同感です。「フランス国歌」はフランス大革命の中で、エジプト国歌は1919年の反英独立運動の中で、アルジェリアの国歌はたしか、対仏独立戦争の中でつくられました。人はヒューマニズムを守る戦いの中で、新しい文化を生み出していくものだと思っています。喜納さんの「アリーラン」も「花」もパンチの効いた絶唱でした。感謝です。
熊岡さんの話しも、カンボジア市民フォーラム以来の真摯な活動体験に裏打ちされた内容豊かな話しでした。とくに「人道支援」「復興援助」はまやかしで、一部企業の私益のためで、真の国益を損なっているという言葉は的を得た重要な指摘でした。
米軍人家族の会のロバート・スミス氏は、父親と兄を第2次世界大戦やベトナム戦争の非条理さゆえに、自殺したり、廃人になった家族をもつ方です。また、彼自身も湾岸戦争に参加、イラク戦争では反戦運動に参加した経験から、自衛隊を日本に呼び戻すことの必要性を諄々と訴え、感動的でした。
日本弁護士会の藤原真由美さんも、日本弁護士連合会が会をあげて自衛隊派遣に反対していることを、その憲法違反の理由を明確にしながら、自衛隊を撤退させる必要を訴えたことが心に強く印象づけらました。藤原さんの話しでは弁護士連合会には2万人近い会員がおり、全員、自衛隊派兵反対とのこと。これは日本国民が誇りに思っていい事実です。
憲法改悪派は、永田町でこそ多数を誇っているが、広い日本人の間では、ほんの僅かの
ポーランド大統領は「イラク戦争の正当性についてブッシュ大統領に騙されていた」と怒ったが、ブッシュが大ウソつきなら、その大ウソを今でも正当だと言っている小泉氏は詐欺罪を構成していないだろうか。小泉氏と国民の討論会など必要だと痛感しました。
(不思議なことに音楽堂に入るころから、少しひきづり気味だった左足の痛みがなくなっていて、正常に歩けるのにびっくりしました! この日比谷に雨にも関わらず多くの人が参加しているという頼もしさや、聞いた話が一つ一つ胸にストンと落ちる立派な内容だったことに感激したのでしょう。)
さて、最後のゴッドプレスの合唱と朗読はとても良かったと思っています。平均年令60才とのことですが、小生が知らない曲が多いのは残念でした。
是非おねがいしたいのは、戦後の最初の「うたごえ運動」の頃、感銘深く歌った与謝野晶子の「ああ君死にたもうことなかれ」を是非復活して欲しいということです。時間が取れればゴッドプレスに入会したいくらいです。幸い、この詩は、小生も国際委員の一人を務めている日本ペンクラブの電子文藝館ですぐ見られます。
http://www.japanpen.or.jp/e-bungeikan/index.html
http://www.japanpen.or.jp/e-bungeikan/poem/yosanoakiko.html
島崎藤村をはじめとする明治以来の文豪から現代の作家にいたる歴史的作品、詩、短歌、俳句、戯曲、シナリオ、ノンフィクション、評論・研究、随筆、小説、児童文学、評論、反核、反戦の作品が閲覧できます。アスファルトジャングルというか、「人情紙風船」というか、日本ばかりか世界を覆う荒れ地のなかに、こんこんと湧き出る心のオアシスです。楽譜は音楽センターにあると思います。
是非、全国的に「君死にたもうことなかれ」が復活して欲しいものです。日本にもこんな素晴らしい詩があったことを、若い方々に知って欲しいのです。珠玉の日本文学です。
最後に一言申したいのは、ブッシュ、小泉のいかさま師は(ふたりだけをあげるのは、彼らがそれぞれの国の最高責任者だから)早晩「自ら播いた種」を刈り取らなければならない時期を迎えるということです。
しかし、それは一日も早い方が良く、長引けば長引くだけ、イラクでも、日本でも、アメリカでも必要以上に罪のない民衆が犠牲にされてしまいます。
昨日の集会での演説を聞いていても、日本の平和運動もすこしづつ運動のフォーカスが合ってきたこと、そして平和を守るという点で、世界の多くの人々の連帯の輪が広がっているということを実感しました。
これから大事なことは、こうした世界に戦争と不幸を振りまいている元凶が誰かをしっかりと把握する必要があると思っています。孫子の教えのように「敵を知り、己を知らば百戦危うからず」なのです。
元凶は、ネオコンとシオニズムです。アメリカの単独行動主義の主役ネオコンと、1949年の国連加盟の時の約束事項(パレスチナ難民の帰還権など)も反古にして「ここは神の約束の地」と称してパレスチナ人を追い出したり、抹殺を図る人種差別の権化イスラエルなのです。この2つの勢力が狙うのは、イラクのパレスチナ化でしょう。
これについてまた寄稿しますが、小生の言いたいのは、世界に災いをもたらしている「元凶」をほっておいて小さな敵を想定して相争っていると、この元凶(2つの頭をもった大蛇)の常套手段である分割支配(devide and rule)の政策によって、人類が滅ばされてしまうという危惧です。
これは実に大きな問題で、ここで論じるには時間が足りません。又の機会にしたいと思います。
では、また。
日本ペンクラブ 電子文藝館編輯室
This page was created on 2004/07/15
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