最初へ

詩集『かんさつ日記』抄

ピオーネ

 

ピオーネ ピオーネ

ぶどうだね

宝石(ほうせき)みたいな なまえだね

 

ひとつぶ ひとつぶ

(おお)きいね

ぶどうの王様(おうさま)みたいだね

 

    むらさきいろに かがやいて

    ほっぺに(ひか)る (つゆ)(たま)

 

ピオーネ ピオーネ

うれしいね

(あき)のすてきな おくりもの

 

 

あやめの(うた)

 

むらさき(いろ)夜明(よあ)けです

あやめの(はな)が ()きました

乙女(おとめ)(むね)(ひら)くよう

(こころ)という()に 咲きました

 

(みどり)(かぜ)(わた)ります

あやめの(その)の (ひる)さがり

()れてふれあう花の(かげ)

どこかで小舟(こぶね)が (うご)きだす

 

(おも)()くぐる十二橋(じゅうにきょう)

(むすめ)船頭(せんどう) (べに)たすき

また()るときもそのままに

ここは水郷(すいごう) (みず)(そら)

 

 

きょうちくとう

 

きょうちくとうは (なつ)(はな)です

夏のこどものように

げんきな花です

かきねのうえまで すくすくのびて

かぞえきれない 紅色(べに)の花が

(はなし)しているように

()いていました

 

きょうちくとうは (はは)のおもいで

母のにおいのする

ふるさとの花です

きょうちくとうの咲く (かわ)べりのみち

むかえてくれた母の()がさが

()るような花の紅に

()まっていました

 

 

(はな)まる一年生(いちねんせい)

 

えんぴつが うまくもてない

おえかきは まるがさんかくになる

かけっこ まっすぐはしれない

せんせい わらって見ている

花まる一年生 みんなげんき

 

しつもんに よく()があがる

まちがえても へっちゃらのかお

おはなし みんなじょうず

きゅうしょく だれものこさない

花まる一年生 きょうもげんき

 

    だれですか じぶんで

    花まるいっぱいつけたひと

 

 

あわてんぼう わすれんぼう

 

おかえりの じかんです

さよなら バイ バイ

てをふって

うわばきのまま とびだした

じぶんのくつの わすれもの

 

あわてんぼう わすれんぼう

 

わすれものに きがついて

もういちど バイ バイ

またあした

こんどはなんの わすれもの

れんらくちょうに べんとうばこ

 

あわてんぼう わすれんぼう

 

いつもママを こまらせる

 

 

おにぎりのうた

 

おにぎり おむすび

おむすび おにぎり

おなじかな おなじだよ

ごましおふって のりまいて

おかかに こんぶ しゃけ たらこ

(いっ)こ ()こ (さん)こ (よん)こ…

ころころにぎって できあがり

 

どれにしようか おいしそう

いただきます ごちそうさま

 

 

ポプラのファッションショー

 

(かわ)のほとり (あさ)もやの(まく)()がって

ポプラさんの ファッションショー

さいしょは 若草色(わかくさいろ)のワンピース

やわらかい日射(ひざ)しの スポットライトに

若葉(わかば)をキラリと (ひか)らせて

背高(せいたか)のっぽのシルエットが

とっても可愛(かわい)く (うつく)しい

 

つづいて 新緑(しんりょく)(つゆ)(たま)

こぼれたような 水玉(みずたま)のブラウス

(きこ)えますか (なつ)足音(あしおと)

どこからか チュンと小鳥(ことり)()んできて

ポプラさんの(むね)に とまりました

すてきなブローチね

さあ (まち)()かけてみませんか

 

初夏(しょか)のお天気(てんき)は 気まぐれ

(あめ)()(よそお)いは カラフルな

トレンチか ビニールコート

ポプラさんは お帽子(ぼうし)もお似合(にあ)いね

(みず)(おもて)の 姿見(すがたみ)

姿(うつ)して (おも)わずニッコリ

(あお)(そら)が またひろがりました

 

 

かわうのうた

 

かわうの う

かわうの う

かわうの うのじは

かわうに にてる

 

    うえのこうえん

    しのばずのいけ

 

う う う

あっちにも

う う う

こっちにも

 

    くいのさきにも

    かわうの う

    くびをのばせば

    うのじものびる

 

あ あ うのじが

はねをひろげて

とんでいった

 

 

干潟(ひがた)()

 

(しお)(なが)れに星空(ほしぞら)をのせて

(あお)(うみ)(とお)ざかる

()れて(ひか)砂浜(すなはま)

(なぎさ)めがけて (かり)()れが

()()のように ()ちてくる

(おお)きく(つばさ)(ひろ)げて

(ひく)()っているのは ユリカモメ

 

月明(つきあか)りに()らされて

巻貝(まきがい)虹色(にじいろ)(かがや)

コノハエビが()

まばたきをした ムツゴロウ

アサリの親子(おやこ)

(すな)のなかから(かお)()

 

潮が()

やがて海がかえってくる

にぎわうひとときの干潟(ひがた)

生物(いきもの)たちの

やすらぎと (よろこ)びと

たくさんの生命(いのち)があふれる

 

 

かんさつ日記

 

スイカの(たね)を まきました

カボチャの種も まきました

あっちにスイカ こっちにカボチャ

 

やがて()がでて つるがのび

ちいさな(はな)が ()きました

スイカは()いろ カボチャも黄いろ

 

そして()がなり ふくらんで

どちらも(みどり)の しまもよう

(なつ)(ひかり)を いっぱいあびて

みるみる(おお)きく なりました

 

あれれ あっちにカボチャ

こっちもカボチャ

スイカはどこだ スイカはどこだ

あーあ 種をまくときまちがえちゃった

 

 

日本ペンクラブ 電子文藝館編輯室
This page was created on 2016/03/14

背景色の色

フォントの変更

  • 目に優しいモード
  • 標準モード

柏木 隆雄

カシワギ タカオ
かしわぎ たかお 詩人。1937年、千葉県佐原市(現香取市)生れ。伊能忠敬研究会顧問。歌曲集に『湾岸の朝』等。

掲載作は歌曲を想定とした詩集『かんさつ日記』(2015年、銀の鈴社刊)よりの抄録。

著者のその他の作品