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断章

淡紫色の同情を

芝居気よく紙背

に書き記し繰戸

を抜け廃品を回

収した情夫の色

めき尊属殺人は

死刑または無期

懲役という怯懦

の葉ふたつ母の

日に薬籠さげて

挽歌流れる色擂

りの盆供養に煙

管を硯池に敲き

落し墨はねて人

質となった疫神

をせせ笑い聖母

の散歩はたちま

ち般若吸血鬼と

化す魔道に陥ち

込んだ一匹の小

羊五生の涙に糸

繰唄をうたい合

掌する

日本ペンクラブ 電子文藝館編輯室
This page was created on 2009/03/04

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あきとし じゅん

アキトシ ジュン
あきとし じゅん(本名 馬場俊明) 評論家 大学教授 1940年 京都生まれ。主な著作『高橋和巳における狼疾』、『たかが京都されど京都』など。

掲載作は第22回(1972年)京都勤労者文化祭文芸作品「詩」部門入選作で、『文芸作品集』(京都勤労者文化会議刊)初出。

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